2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物表面構造をテンプレートとした一次元金属細線の構築に関する研究
Project/Area Number |
14740374
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 健一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00282822)
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Keywords | 金属酸化物表面 / 酸化亜鉛 / 表面電子状態 / ダングリングボンド準位 / 角度分解光電子分光法 / 低速電子回折 / 金 / カリウム |
Research Abstract |
1.清浄酸化亜鉛(ZnO)表面の表面電子状態の測定 高エネルギー加速器研究機構の放射光施設のビームライン11Cおいて、ZnO(1010)表面の電子状態を、角度分解光電子分光法を用いて測定した(課題番号2002G009)。その結果、表面酸素原子の02p軌道に由来するダングリングボンド(DB)準位を同定し、そのバンド構造を決定した。従来の理論研究では、DB準位の投影バルクバンドに対する相対的な位置が、用いられる計算手法によりまちまちであり、決定できていなかった。しかし今回のARPES測定から、DB準位はバンドギャップ内に存在し、表面準位を形成していることが明らかになった。この準位は、カリウム金属原子の吸着に敏感に応答したため、吸着に大きく関与することが明らかになった。 2.ZnO(1010)表面への金属吸着 我々が過去に行った研究では、ZnO(1010)表面に吸着したカリウム(K)原子は、基質温度をコントロールすることにより、Zn-Oダイマー列に沿って一次元的に配列することを見出している。今回、Na原子でも同様の一次元配列構造((3×1)構造)をとることを見出した。しかし、Na-Na間の静電斥力が大きいことに起因してNa-Na距離が大きいため、3s軌道同士の混成による金属バンドは形成されなかった。 金原子の蒸着では、低速電子回折による観測から、室温では金原子は表面に無秩序吸着することが示唆された。吸着量が多くなると、フェルミ準位にAu5sp軌道由来の金属バンドが形成されることが光電子分光実験から明らかになり、金の吸着層は金属的であることが確認できた。しかし、カリウムで見られたような金原子による一次元配列は、吸着表面の加熱でも見られなかった。これは、金の凝集エネルギーが比較的大きい(3.81eV)ためであると予想される。
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