2003 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物表面構造をテンプレートした一次元金属細線の構築に関する研究
Project/Area Number |
14740374
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 健一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00282822)
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Keywords | 金属酸化物表面 / 酸化亜鉛 / 一次元金属鎖 / 光電子分光法 / 低速電子回折 / アルカリ金属 / 貴金属 |
Research Abstract |
ZnO(10-10)表面のZn-Oダイマー列構造を利用して、蒸着金属を一次元配列させることで一次元金属鎖をつくること目的とし、様々な金属のZnO(10-10)表面上での構造と電子状態を光電子分光法と低速電子回折により明らかにした。 1.ZnO(10-10)表面電子状態の決定 これまで、実験的には明らかにされていなかったZnO(10-10)表面の電子状態を、シンクロトロン放射光を用いた角度分解光電子分光法により決定した。これにより、表面酸素のダングリングボンド準位が表面共鳴準位であること、表面に局在した2次元バンドを形成していることを明らかにした。 2.アルカリ金属吸着 ZnO(10-10)表面に、室温でアルカリ金属(Na,K,Cs)を蒸着させると、アルカリ金属は特定の長距離秩序構造を持たずに吸着する。しかし、アルカリ金属吸着表面を加熱すると、Na吸着面では約1200Kで(3×1)吸着構造が観測された。これは、Na原子がZnO(10-10)表面のZn-Oダイマー列に沿って一列に配列した、異方性の高い構造である。K吸着面でも加熱により(3×1)構造が観測されたが、Cs吸着面では特定の吸着構造はとらないことが分かった。このような違いは、アルカリ金属原子のサイズの違いが影響しているものと考えられる。(3×1)構造では、NaやKが原子間隔3.2Åの一次元鎖(鎖間隔は15.6Å)を形成している。しかし、アルカリ金属の小さい電気陰性度に起因して、アルカリ金属原子は陽イオンとして表面に吸着するため、形成された一次元鎖は金属的な性質を持たないことが分かった。 3.貴金属吸着 金や銀といった貴金属は、ZnO(10-10)表面上では3次元クラスターを形成する事がわかった。これは、これらの金属とZnO表面との結合エネルギーよりも吸着原子間の結合エネルギーが大きいことに起因する(凝集エネルギーは、金は3.81eV、銀は2.95eV)。金や銀の吸着面ではフェルミ準位近傍にsp軌道からなる半占有の状態密度を形成することを,光電子分光法により見出し、このことから、これらのクラスターは金属的性質を有することが分かった。吸着面の加熱処理でも、金や銀原子の一次元配列構造は見出すことが出来なかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Ozawa, K.Sawada, Y.Shirotori, K.Edamoto, M.Nakatake: "Angle-resolved photoelectron spectroscopy study of the anion-derived dangling-bond band on ZnO(10-10)"Physical Review B. 68. 125417-1-125417-6 (2003)
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[Publications] K.Ozawa, K.Edamoto: "Photoelectron spectroscopy study of the K-covered ZnO(10-10) surface ; annealing-induced changes in the electronic structure and the chemical composition"Surface Science. 547. 257-267 (2003)