2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子素子を目指したフェノールオリゴマー骨格を有する機能性分子の研究
Project/Area Number |
14740383
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 直人 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (90281104)
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Keywords | フェノール / オリゴマー / X線結晶構造解析 / pka / 水素結合 |
Research Abstract |
メタターフェニル型フェノールオリゴマー(n=2,3,4,5,6)の合成に成功した。合成は、芳香核のハロゲン化とそれに続く鈴木-宮浦カップリングでオリゴマー骨格を構築し、最後にメトキシ基をヒドロキシ基に変換することで行った。得られたフェノールオリゴマーの紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、オリゴマー鎖の伸長に伴う最大吸収波長の長波長シフトが観測されたが、その変化は平面型共役オリゴマーと比べ小さいものであった。続いてX線解析を試みたところ、フェノールオリゴマー単体では十分な質の結晶を与えなかったが、種々のアミン存在下では錯体をつくり、それらは十分に良質な結晶であった。X線構造からは、フェノールはトリマー単位で一価の酸として働き、アミンと錯体をつくる傾向が見出された。赤外スペクトルから、フェノールオリゴマーはフェノキシドアニオンになっており、完全にプロトンがアミンに移動してことが確認された。このことは、フェノールオリゴマーのpKaがフェノールそのものに比べ大幅に小さくなっていることからも説明できることである。興味深いことは、いずれの結晶においても、アンモニウムカチオンとフェノキシドアニオンの間に分子間水素結合が観測されることである。またフェノキシド酸素は、両隣のフェノール性ヒドロキシ基との分子内水素結合により安定化を受けている。フェノキシド酸素を中心に、共有結合しているipso-位炭素、2つのヒドロキシ基酸素、および分子間水素結合している窒素原子は四面体配置をとっており、この角度的有利さのためにフェノキシド酸素は大きな安定化を受けていると言える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hayashi, N., Yamaguchi, K., Matsumoto.K.: "Crystal Structure of Phenol Trimers"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. (印刷中).
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[Publications] Matsumoto, K., Kim, J.C., Hayashi, N., Jenner, G.: "High Pressure Mediated Three Component Strecker Synthesis of α-Amino-nitriles from Ketones, Aromatic Amines and Trimethylsilyl Cyanide"Tetrahedron Lett.. 43. 9167-9169 (2002)
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[Publications] Ikemi, Y, Hayashi, N., Kakehi, A., Matsumoto, K.: "A Facile and Solvent-Free Synthesis of 3,5-Disubstituted-4-amino-1,2,4-triazoles by Reactions of Aromatic Nitriles with Hydrazine"Heterocyclic Commun.. 8. 325-328 (2002)
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[Publications] Matsumoto, K., Okada, A., Girek, T., Ikemi, Y., Kim, J.C., Hayashi, N., Yoshida, H., Kakehi, A.: "Synthesis of 2-Methyl-4,6-diaryl-1,2,3-triazines via Diarylcyclopropenones"Heterocyclic Commun.. (印刷中).