2002 Fiscal Year Annual Research Report
安定有機ラジカルを用いた分子性有機磁性金属・超伝導体の開発
Project/Area Number |
14740389
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70290898)
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Keywords | 有機伝導体 / 電子供与体 / 磁性体 / カチオンラジカル塩 / 構造有機化学 / 結晶構造 / 安定有機ラジカル |
Research Abstract |
近年、複数の機能を併せ持つ機能性物質の開発に注目が集まっている。私はこれまで、数多くの金属を生み出してきたTTPと磁性を担うPROXYLラジカルを部分構造として同一分子内に有する新たなタイプのドナーを各種開発し、それらの構造と物性について検討を行ってきた。今回、シクロペンテン置換体のAsF_6塩についてX線集光ミラーを備えたCCDシステムを用いることにより、微少結晶ながら構造解析をすることに成功したので報告する。 単位格子中には二種類の結晶学的に独立なドナー分子(A, B)が存在し、アニオン分子は2回軸上に乗っているため、DA比は4:1となっている。ドナー分子(A, B)はそれぞれRing-over-bond型にTTP部分を重ね合い、バルキーなラジカル部分を避け合うようにして、二量体構造を形成している。ドナーAは二量体が横並びにb軸方向に一次元に配列し、ドナーBは二量体が積層しながらb軸方向に一次元に配列している。そして、それぞれの一次元配列がa軸方向に交互に配列して、結果としてドナー分子(A, B)が互いに直交しながら二次元のドナー層をab面内に形成するという特異な構造を有している。アニオン分子はドナー層間に存在し、張り出しているPROXYLラジカル部分に囲まれるようにして存在している。磁気的測定からは室温から150K付近までカチオンラジカルモーメントと局在スピンの両者が共存していることが示唆され、さらに温度を下げていくとθ=-4.1KのCurie-Weiss型の温度変化を示した。ペレット試料での伝導性は10^<-2>S cm^<-1>程度の室温電気伝導度を有する半導体であった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Fujiwara et al.: "An indication of magnetic-field-induced superconductivity in a bifunctional layered organic conductor, κ-(BETS)_2FeBr_4"J. Am. Chem. Soc.. 124. 6816-6817 (2002)
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[Publications] H.Fujiwara et al.: "Novel π-Electron Donors for Magnetic Conductors Containing a PROXYL Radical"Chem. Lett.. 1048-1049 (2002)
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[Publications] B.Zhang et al.: "Dual-Action Molecular Superconductors with Magnetic Anions"J. Am. Chem. Soc.. 124. 9982-9983 (2002)
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[Publications] W.Suzuki et al.: "Highly Conducting Crystals Based on Single-Component Gold Complexes with Extended-TTF Dithiolate Ligands"J. Am. Chem. Soc.. 125. 1486-1487 (2003)
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[Publications] E.Fujiwara et al.: "Magnetic molecular conductors based on BETS molecules and divalent magnetic anions [BETS=bis(ethylenedithio)tetraselenafulvalene]"Inorg. Chem.. 41. 3230-3238 (2002)
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[Publications] E.Fujiwara et al.: "A Series of Organic Conductors κ-(BETS)_2EeBr_xCl_<4-x>(0【less than or equal】x【less than or equal】4) Exhibiting Successive Anti-ferromagnetic and Superconducting Transitions"Adv. Marer.. 14. 1376-1379 (2002)