2002 Fiscal Year Annual Research Report
カドミウム・亜鉛・鉛・水銀イオンに対する新規な蛍光性化学センサーの開発
Project/Area Number |
14740399
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川上 淳 弘前大学, 理工学部, 助手 (60261426)
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Keywords | 蛍光性化学センサー / キノリン / ナフタレン / エキシマー蛍光 / 亜鉛 / カドミウム / 鉛 / 水銀 |
Research Abstract |
本研究は、まだ報告例の少ないカドミウム・亜鉛・鉛・水銀イオン用蛍光性化学センサーの開発を目的としている。2年間の研究期間の1年目にあたる本年度は、蛍光性化学センサー分子の合成と分光学的測定実験により基礎的なデータを得ることを目標に研究を行った。その結果、亜鉛イオン用蛍光性化学センサーとして利用が可能な、幾つかのモデル分子の合成に成功した。例えば、三つのピリジン環をスペーサーとしてもち、その両末端にナフタレン環を有する系のアセトニトリル中での蛍光スペクトル測定では、Mg^<2+>,Ca^<2+>,Ba^<2+>,Ni^<2+>,Co^<2+>,Cu^<2+>,Ag^<2+>,Cd^<2+>を添加した際には、全く変化を示さないか蛍光消光を示すだけであったものが、Zn^<2+>を加えた時のみ、新しく長波長側に振動構造の消失したブロードなエキシマー蛍光を示すことがわかった。また、両末端のナフタレン環を、キノリン環にかえた系では、金属イオンを添加する前には、殆ど蛍光を示さず、Zn^<2+>を加えたときのみ強い蛍光を示すことがわかった。これらの系は、いずれも難しいとされている同族のCd^<2+>との選択制もよく優れた亜鉛イオン用蛍光性化学センサーであると言える。尚、これらの結果は、Analytical Science誌(Anal. Chem.,2002,735-736)や平成14年度化学系7学協会連合東北地方大会(弘前)において報告した。一方、クラウンエーテルタイプのキノリン誘導体による亜鉛イオン用蛍光性化学センサーについても研究を行い、幾つかの系がCd^<2+>との選択制もよく優れた亜鉛イオン用蛍光性化学センサーであることを示した。この内容は、Journal of Supramolecular Chemistry誌 (in press)で報告した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jun Kawakami: "Intramolecular Excimer Formation and Complexing Behavior of Tridentate Pyridine Podand Having Two Napthalene Rings as a Fluorescent Chemosensor for Zinc Ion"Analytical Science. 735-736 (2002)
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[Publications] Jun Kawakami: "Characterization of Bis-8-hydroxyquinoline-Armed Diazatrithia-16-crown-5 and Diazadibenzo-18-crown-6 Ligands as Fluorescent Chemosensors for Zinc"Journal of Supramolecular Chemistry. (In Press).