2003 Fiscal Year Annual Research Report
天然水中難分解性・準分解性および易分解性有機炭素のHPLCによる定量法の開発
Project/Area Number |
14740406
|
Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
杉山 裕子 姫路工業大学, 環境人間学部, 助手 (40305694)
|
Keywords | 溶存有機物 / HPLC-SEC / 琵琶湖 |
Research Abstract |
分子量分画を用いて天然水中の溶存有機物をその起源により分け取り、最終的にはHPLC-SECの分子量ピークと溶存有機炭素量の相関を明らかにする目的で、琵琶湖水中の溶存有機炭素を高分子量(a>50kDa)、中分子量(50>b>5kDa)、低分子量(c<5kDa)に3分画し、それらの分画の琵琶湖水における鉛直分布および季節変化を観測した。高分子量の分画(a>50kDa)は、3分画のうちでは、0.10mgCl^<-1>という最も低い濃度で主に中層(7.5-15m)付近に比較的高濃度で存在していた。三次元蛍光スペクトルの結果から、分画aにはトリプトファン型ピーク、および腐植物質型ピークが見られ、この分画は低濃度ながら、生物活動により生成した有機物や河川からの流入物質等が含まれている事が分かった。分画bは鉛直方向での濃度の変動も、季節的な濃度の変動もあまり見られず、約0.14mgCl^<-1>の一定濃度で存在していた。このことから、中分子量の分画は、生物活動などにあまり利用されない不活性な成分である事が示唆された。また、この分画には特徴的な蛍光ピークは見られなかった。低分子量分画cは琵琶湖水中溶存有機物の大部分を占めており、水深や季節によって0.49〜1.48mgCl^<-1>と幅広い変動を見せた。特に、夏季の水深15m付近までの表層では、平均して約1.3mgCl^<-1>という比較的高い濃度で存在し、鉛直方向での濃度変動が見られ、タンパクに由来する蛍光ピークを有した。
|