2004 Fiscal Year Annual Research Report
種子散布と採餌行動を通じたアリと植物間の相互作用について
Project/Area Number |
14740417
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大河原 恭祐 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70283091)
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Keywords | 種子散布 / アリ / カタクリ / エライオ / カビ |
Research Abstract |
(1)カタクリ群落における個体分布調査 札幌市定山渓のカタクリ群落については5月下旬のコドラートセンサスによる個体分布調査を継続して行った。また本年度までに集積したデータを解析し、8月に開催された日本生態学会第51回大会にてその成果を発表した。実生の生存率、若齢個体の成長に大きな個体差があり、個体の新規加入に周期性があることから、カタクリ個体群の更新は従来考えられていたよりも遅い事が示唆された。また同様のコドラートセンサスを石川県・富山県の4つのカタクリ群落において行ったところ、群落間で個体の分布様式や齢構成が異なり、種子分散の成功頻度に差があることが明らかとなった。 (2)アリの種子散布への貢献度とカタクリ種子形態との関係について 石川県・富山県の4つのカタクリ群落(平栗、庄川村、尾口村、河内谷)において、種子を50-100個体以上から採集し、エライオソーム重量などその形態的特徴を比較した。さちにピットホールトラップ採集と野外観察から、種子散布を行うアリ種と各種の散布成功率を算出した。種子の5つの形態的特徴とアリ各種の撒布成功率を元にクラスター解析を行い、4つの群落を分類したところ、種子形態と散布成功率のクラスター樹形図は類似し、平栗と他3群落とに分類された。この事はアリによる群集レベルでの散布成功がカタクリ種子形態を決める1要因担っていることを示唆していた。 (3)アリによる抗菌効果についての実験 他研究プロジェクトの支援も得て、インドネシアの2次熱帯林においてアリ種のもたらすカビ回避効果が果実性木本種の種子の生存率に与える影響を野外実験で調べた。今年度は雨期である12月に7種の植物種を対象に観察を行った。その結果、昨年の乾期での観察時よりも種多様性の種子生存率への重要性は低くなる傾向にあり、時期あるいは植物種によってアリの効果には違いがあることが示唆された。またアリによる抗菌効果の実験結果は学術雑誌Journal of Ethologyに投稿、受理された。
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Research Products
(2 results)