2002 Fiscal Year Annual Research Report
底生生物群集に火山性溶岩が与える影響:群集構造の決定における基質の相対的重要性
Project/Area Number |
14740422
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山本 智子 鹿児島大学, 水産学部, 助手 (80305169)
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Keywords | 群集構造 / 潮間帯 / 転石 / 火山性溶岩 / 底生生物 / 付着基質 / 種間相互作用 / 空間スケール |
Research Abstract |
1.各海岸の底生生物の群集構造を比較 (1)文明(1471-76年)、安永(1779年)、大正(1914年)、昭和(1946年)の噴火によって形成された転石海岸を各2カ所ずつ、計8海岸を選び、3ヶ月ごとに潮間帯の底生生物の種組成や現存量を調査した結果、各海岸内での底生生物の群集組成の変異は極めて少ないが、海岸間の変異は大きく、種数にして2倍近く、現存量(個体数密度)では7倍以上の格差が見られた。 (2)現存量の季節変化を追跡することによって主な動物種の着底期を明らかにすることができた。 2.基質の微細構造を定量化 (1)棲息場所の空間構造をさらに詳細にとらえ、定量化するため、岩石表面の微細構造を石膏に写しとってその断面を顕微鏡写真に撮影しており、結果は解析中である。 3.基質上の微環境の計測 (1)底生生物をとりまく環境要因のうちでも、特に重要な影響を与えると考えられる基質上の環境を明らかにするため、転石上の温度や湿度等、棲息場所の環境条件を毎月測定した。その結果、物理的環境については海岸間の差より海岸内の高さによる違いや転石の上下での違いの方が大きいことが明らかになった。 (2)餌となる微細藻類の現存量を計測した結果、海岸内の変異はもとより、海岸間の格差も大きかったため、転石の微細構造との関係を解析中である。 4.底生生物群集に影響を与える環境要因の解明 (1)底生生物の群集組成は海岸の成立年代とは相関せず、転石の個数との相関が大きかったため、付着面積と棲息場所の複雑さが群集構造に大きな影響を与えていることが示唆された。 (2)転石の大きさに代表される基質の安定性や攪乱の頻度については、群集構造との関連を見いだすことはできなかった。
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