2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を活用した細胞壁構築機構解明へのアプローチ
Project/Area Number |
14740432
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 隆亮 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (90302083)
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Keywords | シロイヌナズナ / 細胞壁 / 遺伝子ファミリー / マイクロアレイ |
Research Abstract |
植物の細胞壁は無数の多糖や構造タンパク質などから構成される複雑な構造物であり、さらにこの細胞壁の構造は各組織を形成する細胞に固有のものである。このような複雑かつ多様な細胞壁の構築メカニズムを解明するため、各組織の細胞形成に伴う細胞壁の構築や再編に関わる細胞壁関連遺伝子群の発現をマイクロアレイ法によって包括的に解析した。本年度、オリゴDNAを共有結合で固定化できるハッブルスライドを用いたオリゴDNAチップの改良によって、これまで探知できなかった発現量の低い遺伝子についても解析が可能になり、より包括的な遺伝子発現解析が実現した。 シロイヌナズナの花茎、葉、胚軸等の組織について、細胞伸長に伴う細胞壁関連遺伝子の発現変化を解析した。各組織の細胞伸長時においては、細胞壁中でネットワークを形成する多糖の分解や合成に関わる加水分解酵素や転移酵素さらには構造タンパク質をコードする多数の遺伝子の発現が増加することが確認された。このことは細胞壁の伸展には、多糖の分解による細胞壁のゆるみと、細胞壁の強度を保つための多糖の転移や合成の両方が同時に必要であることを支持する有力な証拠となり、また具体的にそれらに携わる遺伝子を同定したという研究成果にもつながった。さらに注目する結果としては、各組織において同じ機能を持つタンパク質が増加している場合でも、そのタンパク質をコードする遺伝子は同じ遺伝子ファミリーの別々のメンバーであることが多々確認されたという点である。このことは、各組織における細胞壁構築メカニズムには、ある程度の共通性があるものの、遺伝子レベルでは各組織固有の遺伝子セットが存在し、独自の発現制御機構によって調整されていることを示唆する結果である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ryusuke Yokoyama: "Cell wall dynamics in Tobacco BY-2 Cells"Biotechnology in Agriculture and Forestry. 53. 217-230 (2003)
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[Publications] Ryusuke Yokoyama: "A surprising diversity and abundance of XTHs (xyloglucan endotransglucosylase/hydrolases) in rice : classification and expression analysis."Plant Physiology. 134. 1088-1099 (2004)