2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740441
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西山 佳孝 愛媛大学, 理学部, 助教授 (30281588)
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Keywords | 酸化ストレス / 活性酸素 / タンパク質合成 / 光合成 / 光化学系II / 修復 / ラン藻 |
Research Abstract |
強光などのストレス条件下では、過酸化水素などの活性酸素が光合成系から生成して酸化ストレスを引き起こす。こうした状況では光合成活性が低下するが、その原因は活性酸素による光合成系(おもに光化学系II)の直接的な損傷だとされてきた。これに対し研究代表者は、活性酸素が損傷を受けた光化学系IIを修復するプロセスを特異的に阻害することを発見した。さらに、それが光化学系IIの修復の中心を担うD1タンパク質の新規合成の阻害に起因し、特に翻訳のプロセスが活性酸素のターゲットになっていることを初めて明らかにした。 本研究では、ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803を用いて活性酸素の作用機構を分子レベルで解明することを目的とした。平成14年度の研究により、D1タンパク質が新規に合成されるまでの過程で、ペプチド伸長のステップが活性酸素の最初のターゲットになっていることを明らかにした。この結果から、タンパク質合成系の中で、ペプチド鎖伸長に関与する因子が活性酸素により損傷を受けていることが推測される。今後は、エロンゲーションファクターなどペプチド鎖伸長に関与する因子に的を絞り、活性酸素による阻害機構を明らかにしていく。 平成14年度の別の成果として、一重項酸素も過酸化水素などの他の活性酸素と同様、光化学系IIの損傷を誘導するのではなく、その修復を阻害すること、さらにこの活性酸素種も翻訳のペプチド鎖伸長反応を最初にターゲットすることが明らかにした。一重項酸素についても、その阻害機構を明らかにしていく。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ushimaru, T., Nishiyama Y., Hayashi, H., Murata, N.: "No coordinated transcriptional regulation of the sod-kat antioxidative system in Synechocystis sp. PCC6803"J. Plant Physiol.. 159. 805-807 (2002)
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[Publications] Kimura, A., Eaton-Rye, J.J., Morita, E.H., Nishiyama, Y., Hayashi, H.: "Protection of the oxygen-evolving machinery by the extrinsic proteins of photosystem II is essential for development of cellular thermotolerance in Synechocystis sp. PCC6803"Plant Cell Physiol.. 43. 932-938 (2002)
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[Publications] Allakhverdiev, S.I., Nishiyama, Y., Miyairi, S., Yamamoto, H., Inagaki, N., Kanesaki, Y., Murata, N.: "Salt stress inhibits the repair of photodamaged photosystem II by suppressing the transcription and translation of psbA genes in Synechococcus"Plant Physiol.. 130. 1443-1453 (2002)
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[Publications] Allakhverdiev, S.I., Hayashi, H., Nishiyama, Y., Ivanov, A.G., Aliev, J.A., Klimov, V.V., Murata, N., Carpentier, R.: "Glycinebetaine protects the D1/D2/Cytb_<559> complex of photosystem II against photo-induced and heat-induced inactivation"J. Plant Physiol.. 160. 41-49 (2003)