2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルシトニン細胞の分化形成を司る分子システムの同定とその遺伝子ネットワークの解析
Project/Area Number |
14740456
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 雅一 静岡大学, 理学部, 助教授 (60280913)
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Keywords | ニジマス / カルシトニン / 鰓後腺 / 甲状腺C細胞 / 転写因子 / Nkx2.1 |
Research Abstract |
1)ニジマス鰓後腺の発生。鰓後腺原基は孵化後17日目に現れ、カルシトニンmRNAは受精後18日目、そしてカルシトニンペプチドは受精後19日目に検出された。受精後20日目には濾胞様構造も観察された。また、受精後24日目の稚魚では鰓弁にもカルシトニンmRNAが検出された。 2)ニジマスのカルシトニンにはI型、IV型、および我々が発見したV型があるが、成魚におけるこれらの遺伝子の発現パターンを体系的に示した。V型は鰓後腺以外では組織学的には検出できないほど少量であるが、多くの組織で遺伝子発現していることがRT-PCRにより示された。また、IV型は鰓後腺以外では精巣のライディヒ細胞に遺伝子発現が見られた。 3)ニジマス鰓後腺で発現している転写調節因子のcDNAを解析した。Nkx2.1は甲状腺で機能する特異的転写因子として発見されたが、同一因子がCT遺伝子に対しては抑制的に働くことがラットの培養細胞を用いた研究から示唆されている。私はニジマス甲状腺、および鰓後腺のcDNAライブラリーをスクリーニングし、ニジマス甲状腺からはNkx2.1a、b、c、鰓後腺からはNkx2.1dを得た。アミノ酸配列をもとに分子系統樹を作成すると、甲状腺から得られたRkx2.1a、b、cは魚類特異的なアイソフォームであり、Nkx2.1dは四足類のオーソログであることが示唆された。デュアル・ルシフェラーゼアッセイにより転写活性を解析したところ、Nkx2.1a、bではラットチログロブリン遺伝子のプロモーターに対して転写活性が検出されたが、Nkx2.1cは有意な活性を示さず、機能的に分化していることが示唆された。一方、Nkx2.1dは成魚の鰓後腺で発現量が多かった。鰓後腺の発生過程でも、CT mRNAが検出される以前の15dpfの胚の鰓後腺原基で発現が確認された。これらの結果から、ラットでの報告とは異なり、Nkx2.1はCT遺伝子の発現を促進したり鰓後腺の分化に関与したりしている可能性がある。
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Research Products
(4 results)