2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストロンチウムマーキング法による深海化学合成二枚貝成長量の高精度測定研究
Project/Area Number |
14740467
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤倉 克則 独立行政法人海洋研究開発機構, 極限環境生物圏研究センター, サブリーダー (10344293)
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Keywords | 化学合成生態系 / ストロンチウムマーキング法 / 成長速度 / シンカイヒバリガイ類 / ヒラノマクラ / 微小貝殻成長量 / 潜水調査船 / ROV |
Research Abstract |
本研究は、化学合成細菌を鰓内に共生させている深海産二枚貝のイガイ類とシロウリガイ類の成長速度を推定する実験方法の確立を目的に実施した。 従来の蛍光色素による貝殻へのマーキング法や標識放流では、蛍光顕微鏡やノギスによる成長量の検出であったため数十マイクロメートルオーダー程度でしか計測できず、しかも数ヶ月から1年以上経過して再捕しなくてはならなかった。これでは、成長速度が遅く、また高頻度にフィールドにアクセスできない深海性生物の成長速度を見積もるには不都合であった。そこで、ストロンチウムを貝殻に取り込ませマーキングし走査型電子顕微鏡を用い微小な貝殻の成長量を検出する方法(ストロンチウムマーキング法:SMM)を開発した。 予備的研究として浅海産二枚貝のアサリを材料にした。具体的には、天然環境の数十倍のストロンチウムを二枚貝に取り込ませ、貝殻成長線にストロンチウムが高濃度に蓄積させたマーキングを施し、走査型電子顕微鏡の一次反射映像がストロンチウム高濃度域を強反射することを利用して、ミクロンオーダーで成長量を検出した。その結果、SMMではミクロンオーダーで成長量を検出でき、そして1-2週間の実験期間で成長速度を評価できることがわかった。 本手法については、国際学会誌に公表した。次に、潜水調査船やROVの調査航海において、沖縄トラフの熱水噴出域に棲息するヘイトウシンカイヒバリガイ、メタン湧出域に棲息するクロシマシンカイヒバリガイ、鯨死骸に生息するヒラノマクラを対象に、SMMを用い成長速度の評価実験を行った。これらのうちヘイトウシンカイヒバリガイおよびクロシマシンカイヒバリガイについては、採集時の環境変化に伴い死亡することが多く良好なデータは得られなかった。しかし、ヒラノマクラでは採集による死亡はなかった。現在、ヒラノマクラのデータを解析しており、結果は研究論文等で公表する予定である。
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Research Products
(7 results)