2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 忠 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80301117)
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Keywords | 海流散布 / 分子系統地理 / 種分化 / 種子散布 / phylogeography / speciation / sea-drift species / seed dispersal |
Research Abstract |
ナタマメ属(Canavalia)は主に南米に分布するCantodonia亜属、中南米に分布するWenderothia亜属、全世界に分布するCanavalia亜属、ハワイ諸島にのみ分布するMaunaloa亜属の4亜属約50種が報告されている。このうちCanavalia亜属の数種は海流によって種子を散布するため、全世界に広がるナタマメ属全体の分布は、広域分布する海流散布種数種が地域的に分化した結果であるという仮説がある。この仮説を検証するために、現在までに入手できたCantodonia亜属以外の3亜属13種を用いて、核DNAのITS領域用いた系統解析を行った。汎熱帯海流散布種であるナガミハマナタマメ(Canavalia rosea)については、エクアドル、パナマ、メキシコ、ガーナ、トンガ、オーストラリア、スマトラ、シンガポール、マルケサスからのサンプルを用いた。解析の結果得られた系統樹は、Wenderothia亜属からなるクレードと、Canavalia亜属とMaunaloa亜属からなるクレードの2つに大きく分かれた。両クレードの間は非常に深く分岐しており、ナタマメ属全体が海流散布種から分化したという仮説は否定された。Canavalia亜属とMaunaloa亜属からなるクレードの基部には、海流散布を行わない種が位置し、末端のクレードには海流散布を行うC.sericea、ハマナタマメ、タカナタマメ、ナガミハマナタマメと、ハワイ固有のMaunaloa亜属が含まれた。Maunaloa亜属はナガミハマナタマメのいくつかののサンプルと単系統であったことから、ハワイでは海流散布種から海流散布を行わない種への種分化が生じたことが明らかになった。また、このクレードは分岐が非常に浅く、ハワイの固有種や他の海流散布種の分化は比較的最近生じたことが示された。
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