2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740471
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 忠 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80301117)
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Keywords | 海流散布 / 分子系統地理 / 種子散布 / 種分化 / AFLP |
Research Abstract |
ナタマメ属(Canavalia)はつる性の多年草で、全世界の熱帯・亜熱帯域を中心に分布する4亜属50種からなる。この属のうちCanavalia亜属の数種は海流によって種子を散布するため、また、中南米に分布するWenderothia亜属が最も祖先的な形質を持つことから、全世界に広がるナタマメ属はWenderothia亜属を祖先とし、中南米から海流散布によって広がった結果であるという仮説がある。この説を検証するために、現在までに入手できたCantodonia亜属以外の3亜属20種を用いて、核DNAのITS領域を用いた系統解析を行った。汎熱帯海流散布種であるナガミハマナタマメ(Canavalia rosea)については、全世界の熱帯域から得られたサンプルを用いた。解析の結果得られた系統樹は、Wenderthia亜属からなるクレードと、Canavalia亜属とMaunaloa亜属からなるクレードの2つに大きく分かれた。両クレードの間は非常に深く分岐しており、ナタマメ属全体が現在の汎熱帯海流散布種から分化したという仮説は否定された。Canavalia亜属とManualoa亜属からなるクレードの基部には、海流散布を行わない種が位置し、末端のクレードには海流散布を行う全4種と、ハワイ固有のMaunaloa亜属が含まれた。Maunaloa亜属はナガミハマナタマメのいくつかのサンプルと単系統であったことから、ハワイでは海流散布種から海流散布を行わない種への種分化が生じたことが明らかになった。また、このクレードは分岐が非常に浅く、ハワイの固有種や他の海流散布種の分化は比較的最近生じたことが示された。 また、汎熱帯種であるナガミハマナタマメの全世界から得られた5集団についてAFLP分析を行った結果、大洋間での大きな遺伝的分化が観察された。
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