2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14740473
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
倉林 敦 慶應義塾大学, 法学部, 助手 (00327701)
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Keywords | 共生 / ウスボヤ科 / プロクロロン / 分子系統 / 18SrDNA |
Research Abstract |
原始的な脊索動物、群体ホヤ類のウスボヤ科は、特異な原核緑藻「プロクロロン」を共生させる唯一の動物群である。本研究では、分子系統学の手法を用い、ウスボヤ・プロクロロン共生系の起源を明らかにすることを目的としている。本年度は、沖縄本島・西表島・インドネシアにおいて、4属8種のプロクロロン共生ウスボヤの採取に成功した。各地域で得られたウスボヤ種は以下の通りである。 西表島:Didemnum molle, Trididemnum paracyclops, Lissoclinum punctatum, Lis.bistratum, Lis.timorense, Diplosomavirens 沖縄本島:上記の6種に加え、,Dip.similis インドネシア(バリ島):上記の7種に加え、Lis.patura さらにインドネシアにおいては、これまでに知られていないと考えられるプロクロロン共生種が得られた。 採取されたホヤ種から、DNAを抽出し、PCRを試みたところ、Did.molle以外の種からは、18SrDNAのほぼ全長と、mtDNAのCOI, Cytb遺伝子の増幅が可能であることが確かめられた。さらに、Dip.virens, Dip.similis, Lis.punctatumにおいて、18SrDNAの塩基配列決定を行ったところ、これらの種の18SrDNAは他の動物と比べ、約200bp程長くなっていることが明らかになり、さらに、これらの18SrDNAは分子進化速度が極端に速くなっていることが分かってきた。ここから、ウスボヤ類では、18SrDNAが系統マーカーとして利用できない可能性がある。従って、今後は、より多くのプロクロロン共生種において、遺伝子の塩基配列を決定すると共に、系統解析に向いた分子種の検討をする必要が有ると考えられた。
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