2002 Fiscal Year Annual Research Report
GaN系磁性混晶半導体におけるキャリヤ誘起強磁性発現と磁気光学効果の電界制御
Project/Area Number |
14750007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 剛 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70323805)
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Keywords | 磁性混晶半導体 / 希薄磁性半導体 / III族窒化物半導体 / キャリヤ誘起強磁性 / 磁気光学効果 / 円偏光発光素子 |
Research Abstract |
本研究はGaN系磁性混晶半導体(MAS)におけるキャリヤ誘起強磁性(CIF)発現とその現象を利用した新しい磁気光学素子の創製を目指している。今年度は(1)(Ga,Mn)NへのSnドナー同時ドーピング、(2)(Ga,In,Mn)N薄膜の作製と評価、(3)(Al,Ga)N/(Ga,In,Mn)N/(Al,Ga)N量子井戸構造の作製と評価、の三項目について研究を進めGaN系MAS電子構造の理解を深めると共にCIF発現の可能性を探った。 (Ga,Mn)N:Snでは期待されたCIF発現には至っていないものの、n型ドーピングによってMnイオンの局在スピンが小さくなることが見いだされ、磁場下での伝導測定において室温で負の磁気抵抗が観測された。この室温における負の磁気抵抗はGaN系MASに強いs,p-dスピン交換相互作用が存在することを暗示している。 一方、In添加によって禁制帯幅を変化させた(Ga,In,Mn)N薄膜の磁気円二色性を測定したところ光学吸収端での信号の他にMnアクセプタ準位から伝導帯への遷移に対応すると考えられる信号を検出した。この測定結果はMnアクセプタ準位が比較的深い位置にあることを示唆している。またIn添加によってMnイオンの局在遷移の発光を観測することが可能となり、さらに量子井戸構造では(Ga,In,Mn)Nのバンド端発光を観測することに成功した。 本年度の研究結果から、(1)GaN系MASでは(Ga,Mn)Asや(In,Mn)Asなどと異なり不純物バンドにおける二重交換相互作用による強磁性発現の可能性が強い、(2)その強磁性発現にはアクセプタ添加などによって不純物バンドの電子占有率を変える必要がある、(3)GaN系MASには円偏光発光素子の活性層材料としての可能性がある、の三点が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Kondo, H.Owa, H.Munekata: "(Ga,Mn)N:Sn epilayers"Journal of Superconductivity : Incorporating Novel Magnetism. (2003)