2003 Fiscal Year Annual Research Report
格子整合系ヘテロエピタキシーによる無転位窒化物半導体層の形成
Project/Area Number |
14750010
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
古川 雄三 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20324486)
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Keywords | AlN / SiC / BAlN / 分子線エピタキシー / 高温水素エッチング / 微傾斜基板 / 格子整合 |
Research Abstract |
AlN、GaN、InNなどの窒化物半導体は、主にSiCやサファイア基板上のヘテロエピタキシーにより形成され、短波長発光デバイスや電子デバイスへの応用が検討されている。しかしながら、基板と成長層との大きな格子不整合のため、実用に耐え得る10^3cm^<-2>以下の転位密度を実現するまでには至っていない。 一方で、III-V族半導体/Si構造も大きな格子不整合により実現が困難とされていた。しかしながら、化合物半導体に窒素を添加したIII-V-N半導体により、Si基板上への格子整合系ヘテロエピタキシーが可能となった。そこで本研究では、窒化物半導体のヘテロエピタキシーに格子整合条件を適用し、無転位の窒化物半導体層を実現することを究極的な目標とした。 第一に、窒化物半導体の一つであるAlNとの格子不整合度が比較的小さいSiCを基板として採用した。化学的に安定なSiC基板表面を原子レベルで平坦化するために、高温水素エッチングによる前処理を行った。その結果、1600℃以上の前処理温度にて、6H-SiC基板表面に、均一なステップ構造を形成することに成功した。次に、成長温度800℃以上の分子線エピタキシー法(MBE)において、原子レベルで平坦なピットフリーのAlN成長層を形成することに成功した。さらに、窒化物半導体の格子整合系ヘテロエピタキシーを実現するべく、B(ボロン)を添加したBAlNの直接成長を試みた。その結果、0〜1.8%のB組成を有するBAlN成長層の形成に成功した。加えて、B組成の増加とともに、XRDの(0002)回折の半値全幅が減少することが明らかとなった。これは、B組成の増加とともに格子不整合率が減少し、BAlN層が高品質化したものと考えられる。以上の結果より、窒化物半導体の高品質化においても、格子整合条件が高品質化に有効であることを示し、無転位窒化物半導体層の形成に向けた基礎的指針を得るに至った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Nakajima, Y.Furukawa, S.Koga, H.Yonezu: "Growth of high-quality AlN with low pit density on SiC substrates"Journal of Crystal Growth. (To be published). (2004)
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[Publications] A.Nakajima, Y.Furukawa, H.Yonezu, S.Koga: "Pits-free AlN on vicinal 6H-SiC substrates prepared by high temperature hydrogen etching"Extended Abstracts of the 22nd Electronic Materials Symposium, F7. 171 (2003)
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[Publications] 中島明, 古賀真之介, 古川雄三, 米津宏雄: "MBE法による6H-SiC基板上へのBAlN成長"第64回応用物理学関係連合講演会. 1. 297 (2003)
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[Publications] 中島明, 古賀真之介, 古川雄三, 米津宏雄: "高温Kセルを用いたMBE法によるBAlN成長"第51回応用物理学関係連合講演会. 1. 400 (2004)