2002 Fiscal Year Annual Research Report
有機電界効果トランジスターに与える自己組織化界面修飾の影響
Project/Area Number |
14750014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 克彦 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (20281644)
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Keywords | 有機半導体 / 有機トランジスター / 自己組織化単分子膜 / ゲート絶縁膜 / 熱CVD法 / ペンタセン / ポリキシリレン |
Research Abstract |
本研究は有機電界効果トランジスタ(OFET)のゲート絶縁膜表面を修飾し、その上面に調製される有機半導体の分子配向や集合状態を変化させ、その結果生じるチャージキャリア移動度などへの影響を調べることで、絶縁層/有機半導体層の界面構造とトランジスター性能の相関を明らかにすることを目的としている。 平成14年度の研究成果として(1)分子末端にチオフェン環を有するトリエトキシシラン誘導体(TATES)処理によるOFET特性の向上。(2)熱CVD法による有機絶縁膜の調製と表面への官能基導入。の二項目を挙げる。 (1)TATESを合成し、シリコン基板上の酸化ケイ素絶縁膜上にTATESの自己組織化単分子膜を調製した。この自己組織化修飾表面に有機半導体としてペンタセンを真空蒸着により積層し、OFET特性を評価した。未修飾の絶縁膜上に同様に作製した有機半導体層に比べ1桁以上のキャリア移動度の向上が見られたが、アルキルシランによる疎水化処理によっても同様のキャリア移動度の向上が見られることから、修飾による界面自由エネルギーの低下によってペンタセンの界面でのぬれ性が向上したことによる集合状態が改善されたものと考えられる。 (2)熱CVD法によりポリ-P-キシリレン(PPX)薄膜をゲート電極上に調製し、ソース・ドレイン電極、ペンタセンと順次積層する事でOFETを作製し、トランジスター特性を評価した。一般的な酸化ケイ素絶縁膜を使用した場合と比較して、駆動電圧は上昇したものの、キャリア移動度、on-off比ともに遜色ない値を示し、ゲート絶縁膜として機能することを確認した。さらに、様々な官能基を有するモノマーを利用することで絶縁層表面に官能基を導入した。親水性の官能基を導入するとキャリア移動度とon-off比が低下し、ハロゲンの導入によりこれらの値は向上することなどがわかった。このことは表面自由エネルギーを変えることによってペンタセン分子集合状態が変化することに加え、界面のイオン性不純物の影響が強いことを示している。 以上により、界面修飾により結晶性分子であるペンタセンのOFET特性が分子集合状態を介して大きく影響することがわかった。次の課題としてアモルファスの高分子半導体での影響を明らかにすることが重要になった。
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