2004 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理分子動力学計算による原子・分子細線の機能予測
Project/Area Number |
14750022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 倫也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80335372)
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Keywords | 第一原理分子動力学 / 実空間差分法 / ナノストラクチャー |
Research Abstract |
近年,ナノ構造体の電気伝導特性を解明すべく,実験,理論計算の両分野で数多くの研究が盛んに行われている.本研究では、申請者が独自に開発した第一原理分子動力学シミュレーションプログラムを用いて、ナノ構造体の電子輸送特性を理論的に予測することを目的としている.今年度は,前年度までに開発・改良を重ねてきた実空間差分法による第一原理分子動力学計算を用いたナノ構造体の電気伝導特性計算プログラム用いて、様々なナノ構造体の電気伝導特性を調べた.計算対象には,半無限に続く電極間に挟まれた極薄のシリコン酸化膜を計算モデルに用いた.このような薄膜は,半導体デバイスの微細化のために非常に重要である.計算の結果,次のような知見が得られた.(1)局所電子密度分布から、フェルミ準位を介しての電子の伝導がないことが分かり,リーク電流はトンネルによるものである.(2)計算によって得られたリーク電流の値は,実験結果から予測されるものと矛盾しない.(3)薄膜にひずみを与えると,ひずみによってリーク電流の量が変化する.さらに,走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscopy ; STM)の試料-探針からなる系をモデルに用いて,試料-探針間を流れるトンネル電流の解析を行った.その結果,次のことが確認された.(1)計算によって得られたトンネル電流の値は,実験結果から予測されるものと矛盾しない.(2)計算によって得られたSTM像は、実験により得られたものとよく一致する. 以上の結果より,これまで開発してきた第一原理計算プログラムが,ナノ構造体の電気伝導特性を予測するための有用なツールであることが確認された.
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Research Products
(6 results)