2004 Fiscal Year Annual Research Report
低コヒーレンス干渉計を用いたスペクトル測定システムの構築と散乱計測への応用
Project/Area Number |
14750025
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 勝弘 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (30311517)
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Keywords | 低コヒーレンス干渉法 / 動的光散乱 / 拡散波分光 / 粒径計測 / コヒーレンストモグラフィー |
Research Abstract |
低コヒーレンス干渉計を用いた動的散乱光スペクトル測定システムを用いて、高濃度懸濁液中に分散する微粒子の動特性測定を行った。測定システムは、2×2光ファイバーカップラーマイケルソン干渉計とスーパールミネッセントダイオード(中心波長811nm、コヒーレンス長30μm)からなり、光検出器によって検出された光強度を、A/D変換器を通してコンピュータに取り込み、動的散乱光のパワースペクトルを計測する。本測定システムでは、参照光との光路長差が光源のコヒーレンス長以内の散乱光のみが参照光と干渉するため、干渉信号の時間揺らぎのスペクトルを測定することで、高濃度媒質に対して、単散乱光のみの測定が可能となり、高精度な動特性測定が可能となる。 体積濃度10%の単分散ポリスチレンラテックス懸濁液に対して粒子径分布測定を行った結果、粒子径誤差と分散がそれぞれ数%以下という非常高精度な粒子径測定が可能であることを示した。市販の動的光散乱装置を用いて得られた結果と比較しても、これらの結果は、非常に高精度である。2種類の粒子を混合した多分散媒質に対しても粒子径分布測定が可能であることも示した。 また、本測定システムを用いて、粒子の体積濃度変化に対する懸濁液の粘度測定を行った。体積濃度を1%から30%の範囲で変化させ、懸濁液の粘度を測定した結果、理論予測、および、拡散波分光法で測定された粘度変化とよく一致する結果が得られた。それらの結果より、本測定システムが、体積濃度1%から30%の広範囲に対して適用可能であること、懸濁液の粘度測定にも有効であることを明らかにした。 さらに、動特性の空間分布測定として、ガラス-懸濁液境界近傍での粒子のブラウン運動の測定を行った。境界近傍では、粒子のブラウン運動は境界によって制限されるため、球界面へ接近するにしたがって粒子の拡散定数は減少する。本測定システムより測定された拡散定数の空間分布には、この境界面の影響が現れていることを明らかにした。本測定システムの分解能が30μmと大きいため、完全に空間分布を測定できていないが、分解能の向上によりこれらの測定の可能性を示した。
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Research Products
(6 results)