2002 Fiscal Year Annual Research Report
連続チャープ周波数内狭線スキャニング分光法の原理実証
Project/Area Number |
14750036
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
斎藤 徳人 理化学研究所, 基盤技術開発室, 基礎科学特別研究員 (90333327)
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Keywords | 周波数シフト帰還型レーザー / 電子制御レーザー / 音響光学波長可変フィルター / ファブリー・ペロー干渉計 / 連続チャープ周波数 |
Research Abstract |
周波数シフト帰還型レーザー(電子制御レーザー)のスペクトル分析から出発した。200MHzの周波数分解能のファブリー・ペロー干渉計を用いて調べたところ、いずれの波長に対しても従来のファブリー・ペロー型レーザーのような縦モード構造が見られず、スムーズで連続的なスペクトル構造を有することがわかった。つまりこのスペクトルを利用すれば微細吸収スペクトルを見落とすことなく検出することができることが保証された。干渉計によって分解されたスペクトルの出力は±10%程度でレーザー出力と同程度に安定であった。10ショット以上の積算により±1%程度までの測定感度が得られた。2波長同時に発振させた場合にも、それぞれの波長が連続スペクトルであるというレーザーの基礎科学における新しい知見も得た。 このレーザースペクトルを用いて大気中O_2の測定を行った。この非常に低い吸光度バンドの測定の為にはレーザー共振器内吸収分光法が有用である。音響光学波長可変フィルターを共振器内で用いた今回の方式を、レーザー共振器内吸収分光に必要な矩形パルス発振および波長同調を同時に制御でき、かつ連続チャープパルス発振のために吸収を見落とすことのない、新しいレーザー共振器内吸収分光法として確立できた。 以上の近赤外分光と並行して、中赤外用分光の準備を進めた。本年のスペクトル分解実験、大気中O_2、H_2O等の分光分析を進めるにあたり、ファブリー・ペロー干渉計を形成するミラーの反射率の他、面精度が非常に重要な要素であることがわかった。そのため高分解分光に必要な仕様を満たすミラーの製作に非常に手こずったが、それと共に新しい赤外検出用のファブリー・ペロー干渉計も2月中には完成の目処がつき、本研究をなんとか軌ケに戻すことができた。今後、本格的にターゲットを広げた連続チャープ周波数内狭線スキャニング分光計測へ進展させる準備まで整った。
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