Research Abstract |
ランニング・シューズの適合性を評価する方法を検討するにあたり,まず本年度は,ユーザがどのように適合感(フィット感)を判断しているかについて調査した.そこで,シューズの適合性に影響を及ぼす因子として,足およびシューズの形状,足の触覚感度やコンプライアンスに着目し,足およびシューズから得た物理量と,異なるラスト(靴型)から作られたシューズを履き比べて,フィット感に関する官能評価から得た結果とを比較することにより,フィット感に影響を及ぼす因子や部位について検討した. 本研究では被験者実験として,1)形状の異なるシューズを履き比べて,最もフィット感のよいシューズ(最適シューズ)を選択させ,シューズ形状と足物理量との関係の調査,2)最適シューズと,少しずつ形状を変化させたシューズに関して,部位別(つま先,ボール部,甲,土踏まず,外側,踵)のフィット感についての官能評価を行い,どの部位でフィット感を判断しているかの調査,を行った.また,足とシューズの形状は,足長と足囲に着目し,フイット感の評価指標として,最適シューズの足長サイズと被験者の足長との差を足長で除した「足長ゆるさ」と,同様に足囲に関する「足囲ゆるさ」を定義した.そして,これらの評価指標と足物理量との相関を調べた. 1)の実験より,足囲ゆるさと足囲および足幅の間に強い相関が見られたことから,足囲やシューズの足囲サイズがフィット感に大きく影響し,ボール部の形状が重要であることがわかった.2)の実験より,最適シューズと1サイズ小さいシューズの間にはつま先に,1サイズ大きいシューズの間には踵に有意差が見られたことから,フィット感の感じ方は部位ごとに異なり,きつさはつま先で,ゆるさは踵で判断する傾向にあることがわかった.
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