2003 Fiscal Year Annual Research Report
EBSD法(電子線後方散乱回折法)を用いた銅膜材の疲労損傷評価法の確立
Project/Area Number |
14750067
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 憲一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (50294434)
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Keywords | 銅膜材 / 疲労 / 疲労損傷 / EBSD法 / 結晶配向性 / 疲労き裂 |
Research Abstract |
(1)EBSD法(電子線後方散乱回折法)を用いて,銅膜材の結晶方位解析を行った結果,焼なましによって結晶粒が成長する際に焼なまし双晶の生成が確認された.そして,き裂前方に双晶境界が存在すると,き裂は双晶境界に沿って伝ぱすることがわかった.これは,双晶と隣り合う結晶方位の傾角が他の粒界の傾角よりも著しく大きいため,変形が集中しやすく,また,双晶境界はすべり面でもあるため,すべり変形が生じやすいためである.なお,双晶境界は圧延方向に平行に近い角度で存在している場合が多く,このため,き裂が圧延方向と直交方向に伝ぱする場合よりも,圧延方向と同一方向に伝ぱする場合の方がき裂の屈曲が大きかった. (2)貫通穴を開けた板材を母材として用い,この貫通穴を覆うように膜材を接着してき裂を発生・伝ぱさせる方法により鉄膜材の疲労試験を行った.そしてEBSD(電子線後方散乱回折)法を用いて疲労き裂周辺の結晶方位解析を行った.その結果,疲労き裂先端に近い箇所ほど結晶方位の回転が生じ,同一結晶粒内でも結晶方位のばらつきが大きいことを定量的に示した.このことから,疲労試験後において結晶方位が変化し,ばらつきが大きくなる現象は,疲労損傷と対応している可能性が高いことがわかった. そこで疲労試験前後の同一箇所におけるき裂周辺の結晶方位の変化を方位行列から定量的に評価する方法を開発した.その結果,き裂に近い箇所ほど疲労試験後の結晶方位の変化量が大きいことを示す分布図が得られた.また粒界き裂と粒内き裂を比較すると,き裂伝ぱに際して多くの塑性変形を伴う粒内き裂の方がき裂周辺の結晶方位変化が大きいことがわかった.これらのことからも,き裂周辺の結晶方位変化は疲労損傷と対応していると考えられ,疲労き裂周辺の結晶方位変化に注目した疲労損傷評価法の開発の可能性が示された.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kenichi SHIMIZU: "The Effect of Microtexture Evaluated by EBSD (Electron Back-scatter Diffraction) Method on Fatigue Crack Propagation Behavior in Rolled Copper Film"Proceedings of the International Conference on Fatigue Crack Paths (FCP 2003). (2003)
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[Publications] Kenichi SHIMIZU: "The Effect of Crystal Orientation Due to Rolling on Fatigue Crack Propagation Behavior in Copper Film"Proceedings of ATEM '03 (International Conference on Advanced Technology in Experimental Mechanics 2003). OS11W0257 (2003)
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[Publications] 清水 憲一: "圧延銅膜材の疲労破壊特性に及ぼす膜厚さの影響"日本機械学会論文集(A編). 69・679. 654-661 (2003)
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[Publications] Kenichi SHIMIZU: "The Relationship between Fatigue Properties and Microstructures in Rolled Metal Film"JSME International Journal Series A. 45・4. 504-509 (2002)