2002 Fiscal Year Annual Research Report
実働荷重下にあるFRP積層板のLamb波による非破壊損傷評価
Project/Area Number |
14750076
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
和田 明浩 神戸市立工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (60321460)
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Keywords | FRP積層板 / Lamb波 / マトリックスき裂 / き裂閉口 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
本研究では,板面内を伝播するLamb波を用いて,実働荷重下におけるFRP積層板のき裂損傷を非破壊的に検出する手法について検討しており,特に,FRP製の液体容器が液体の自重により曲げを受ける場合を想定して,曲げ荷重下にあるFRP積層板のき裂検出に取り組んでいる.本年度は,き裂を含んだFRP積層板に曲げ荷重を加え,一部のき裂が閉口した状態で超音波伝播特性の測定を行い,き裂の閉口度(き裂面の接触圧力)と超音波伝播特性の関連について基礎的なデータを収集した. 実験ではFRP積層板に曲げ荷重を加え,試料が曲率を持った状態で超音波の入射・受信を行う必要がある.このため3×30mmの薄型探触子を用い,さらにその全面にくさび状のアクリルウェッジを取り付けることにより超音波の送受信面をライン状にし,曲率が変化しても試料との接触状態が変化しない構造とした.さらに,スプリングを利用した探触子保持ジグを製作し,試料表面に対し探触子を常に垂直に保ち,超音波を安定的に入射・受信できるようにした.これら一連の実験装置により,曲率が変化する試料に対しても超音波音速の高精度な測定を可能とした.実際に,4点曲げの要領で試料に曲げ荷重を段階的に加えながら,荷重スパン内のフリー区間で超音波伝播速度を測定した結果,(1)非損傷積層板では曲げ荷重が増加しても音速はほとんど変化しないが,き裂損傷を含む試料では,荷重増加とともに音速も増加する,(2)曲げ荷重による音速の変化は,FRPの積層構成に依存しており,積層数が多くき裂発生層が多くなるほど顕著になる,ことが分かった. 以上の結果は,き裂の閉口効果による一時的な剛性回復によるものと考えられ,本実験により,閉口き裂の増加とともに損傷を過小評価してしまう危険性があることを確認した.
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