2002 Fiscal Year Annual Research Report
高密度熱エネルギー照射により作成した潤滑膜の耐摩耗性向上の研究
Project/Area Number |
14750104
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 隆弘 明石工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (60270302)
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Keywords | 固体潤滑 / グラファイト / 二硫化モリブデン / 表面改質 / 赤外線加熱 |
Research Abstract |
高密度の熱エネルギを用いて,金属材料表面に固体潤滑剤を被膜化することにより潤滑性機能の付加を試みた.熱エネルギの照射方法として,赤外線放射加熱を用いた. 固体潤滑剤にはグラファイト(C)と二硫化モリブデン(MoS_2)の単体粉末,および両者の混合粉末を,基板材料にはステンレス鋼(SUS316)と用いた.基板表面に潤滑剤粉末を塗布し,この粉末塗布層表面に赤外線加熱装置を用いて集光した赤外線を照射し,潤滑剤粉末と基板表面を高温に加熱することにより被膜を作製した.赤外線照射時の雰囲気は,空気雰囲気,アレゴン雰囲気,および真空中とし,形成された被膜の成分が,摩擦特性に及ぼす影響を検討した.被膜の摩擦特性は,軸受用鋼球(SUJ2)との無潤滑往復動すべり摩擦試験により評価した. 被膜の形成条件と摩擦摩耗特性を検討した結果,以下のことがわかった. (1)被膜中に含まれるグラファイト量が多いほど,被膜の耐摩耗性は向上する. (2)被膜中にグラファイトが多く含まれるためには,被膜中にある程度のモリブデン酸化物が必要である. (3)二硫化モリブデンは、被膜化して潤滑剤として機能するより酸化物となり,グラファイトを保持し,被膜と基板との密着性を向上する働きがあると考えられる. (4)耐摩耗性に優れた被膜は,空気雰囲気中の赤外線照射で,グラファイトの混合割合が多い粉末で形成される. (5)空気雰囲気よりもアルゴン雰囲気と真空中で形成された被膜中には,モリブデン酸化物が少ない.このために,耐摩耗性に優れた被膜は形成できなかった.
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