2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶薄膜半導体次世代高品位自発光型フラットパネルディスプレイの開発
Project/Area Number |
14750234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外山 利彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (10294159)
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Keywords | ナノ結晶 / ZnS / Tb / 2重絶縁型構造 / 緑色発光 / 濃度消光 / 低電圧駆動 / エレクトロルミネッセンス |
Research Abstract |
本年度は、Tb化合物を添加したZnSナノ結晶を発光層に用いた交流駆動薄膜エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する性能向上に関する研究を行った。透明電極付きガラス基板上にZnSナノ結晶発光層/Al電極を順次形成した。ZnSナノ結晶は、低温製膜・大面積化に有利な多元スパッタ法を用い、結晶成長を遮断するSi_3N_4層との交互積層により、作製した。本方法では、結晶粒径は、成長時間にほぼ対応することが、これまでの実験により明らかとなっており、結晶粒径の異なるナノ結晶の作製がほぼ確立されている。ZnSスパッタターゲットにTb化合物(TbF_3)を添加し、試料に交流電圧30V_<0-p>を印加し、緑色発光を得た。これにより、既に得られているMn添加ZnSナノ結晶による赤色EL素子に加え、多色化が達成された。また、本年度申請備品である色彩輝度計により、輝度及び発光色の色度を同時測定した結果、この構造における最大輝度は、1.7cd/m^2、色度(0.30,0.66)であった。この時ZnSナノ結晶に印加される電界強度は、1MV/cmを越えると見積もられ、さらに駆動電圧の周波数に対する輝度特性から判断すると、この発光は、従来の2重絶縁型薄膜EL素子同様の電界による電子の加速に起因する衝突励起EL(真性EL)であると結論付けられた。この知見の基に更なる高輝度化・素子安定化のために、高誘電率材料のTa_2O_5層でZnS/Si_3N_4交互積層膜を挟む、2重絶縁型構造を新たに採用した。加えて、TbF_3の添加濃度の最適化を図った結果、駆動電圧は、40V_<0-p>に増加したものの最大輝度は、32cd/m^2に達した。この時、TbF_3の添加濃度は、10mol%に達し、従来の2重絶縁型薄膜EL素子における最適濃度に比して、1桁多いことから、ナノ結晶材料における濃度消光特性が、バルクとは異なることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Toyama, Y.Nakai, A.Asano, H.Okamoto: "Optical Transitions in Silicon Nanocrystals near Structural Transition Region to Amorphous Silicon"Journal of Non-Crystalline Solids. 299-302. 290-293 (2002)
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[Publications] T.Toyama, D.Adachi, M.Fujii, Y.Nakano, H.Okamoto: "Thin Film Electroluminescent Device Utilizing ZnS : Mn Nanocrystals as Emission Layer"Journal of Non-Crystalline Solids. 299-302. 1111-1115 (2002)
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[Publications] T.Toyama, Y.Nakai, K Moriguchi, H.Okamoto: "Polarization Anisotropy in Electroreflectance Spectrum of Porous Silicon"Material Research Society Symposium Proceedings. 737. F3.43.1-F3.43.6 (2002)
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[Publications] T.Toyama, Y.Nakai, K.Moriguchi, H.Okamoto: "Electroreflectance and Photoluminescence Studies on Thermally Oxidized Porous Silicon"Physica Status Solidi (A). (発行予定).
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[Publications] 外山利彦: "ナノ結晶半導体を用いた新規薄膜EL素子の開発"第1回ナノテクノロジー総合シンポジウム〜JAPAN NAN0 2003〜講演予稿集. 140-141 (2003)