2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 裕行 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (20314429)
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Keywords | 巨大分子 / 鎖状分子 / 伸張 / 配列 / 配向 / 噴霧 / パルスバルブ / DNA |
Research Abstract |
本研究のエッセンスは、巨大分子を伸張・配列させることに寄与する「流れ」に傾斜を持たせた噴霧法を用いる所にある。巨大鎖状分子を基板に噴霧法を用いて固定する場合に、基板表面に垂直(90度)にするのではなく、傾斜させる(45度等)ことにより、基板表面水平方向に対して噴霧の流れに指向性を持たせ、その噴霧の流れ(圧力)により、鎖状分子を基板上に一方向に配列させることにある。巨大鎖状分子の噴霧(蒸着)は、真空装置中で行う。パルスバルブ(高速電磁弁)と基板の距離は数cmから数十cm程度にする。真空チャンバーに設置されたパルスバルブを数百マイクロ秒から数ミリ秒程度開けることにより、巨大鎖状分子を真空チャンバーに導入する。基板をバルブの正面に向ける(90度)のではなく、45度などの傾斜を持たせると、パルスバルブから噴射された溶媒は、基板上を一方向に駆け抜けやすくなる。巨大鎖状分子はこの「流れ」(圧力)を受けて表面を転がる過程で伸張され一方向に配列した状態で基板上に固定される。 具体的な成功例として、巨大分子にλDNAを用い、基板にマイカ(雲母)を用いた。真空チャンバーに設置されたパルスバルブを1.5ミリ秒程度開けることにより、DNA分子が真空チャンバーに導入され、マイカ基板に付着する。このとき、基板をバルブの正面に向ける(90度)のではなく、45度程度で行った。パルスバルブと基板と距離は約6cmであった。その結果、λDNA分子をマイカ表面上で伸張させ、一方向に配列させることに成功した。一方、90度(垂直)に入射した場合では、配向性のない凝集した網目構造を形成してしまうことも比較実験により明らかにしている。 なお、本研究成果に関する特許(国有)書類出願は、産業科学研究所事務に提出済みである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Kasai: "STM observation of single molecular chains of π-conjugated polymers"Chemistry Letters. 2002(7). 696-697 (2002)
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[Publications] H.Katou: "The role of disulfide bond in the amyloidogenic state of b2-microglobulin studied by heteronuclear NMR"Protein Science. 11. 2218-2229 (2002)
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[Publications] Takashi Kanno: "Size distribution measurement of vesicles by atomic force microscopy"Anal Biochem. 309(2). 196-199 (2002)
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[Publications] Shin-ichi Tanaka: "Synthesis of Long Poly(dA)-Poly(dT) DNA without structural detects using enzymatic reaction ; Tailored ligated Poly(dA)-Poly(dT)"Chem. Commun.. 20. 2330-2331 (2002)
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[Publications] Makoto NISHIMURA: "Structure of Linear Double-Stranded Deoxyribonucleic Acid Adsorbed on Cu(111)Surfaces : a Low-Temperature Scanning Tunneling Microscopy Study"Jpn. J. Appl. Phys.. 41. 7510-7511 (2002)
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[Publications] Itsuki Yamamoto: "AFM Observation of Stretched DNA on Graphite Surfaces"Jpn. J. Appl. Phys.. (in press). (2003)
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[Publications] Makoto NISHIMURA: "High-resolution scanning tunneling microscopy imagin of Escherichia coli lysine transfer ribonucleic acid"J. Vac. Sci. Technol. B. (in press). (2003)
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[Publications] 田中裕行: "走査型トンネル顕微鏡によるDNA分子構造の可視化"蛋白質 核酸 酵素. 48(5). 614-620 (2003)