2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射光照射を用いたSiO_2脱離によるSi表面クリーニングおよび表面加工
Project/Area Number |
14750245
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
野々垣 陽一 分子科学研究所, 極端紫外光科学研究系, 助手 (40300719)
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Keywords | アンジュレータ光照射 / STM観察 / 水素吸着Si(111)表面 / 光刺激脱離 |
Research Abstract |
平成14年度より設計・建設してきたアンジュレータビームラインが平成15年12月に完成し、平成16年1月よりアンジュレータ照射とSTM観察を組み合わせた実験を開始した。Si上SiO_2の脱離反応に先立ち水素吸着Si(111)表面上での光刺激水素脱離反応観察を行った。水素吸着Si表面は表面科学の基礎的問題として、また、半導体素子作製の観点からも重要な系であり、光刺激による水素-Si結合の解離機構を理解することは大きな意味がある。応用として光刺激脱離を用いたH-Si表面における水素パターン形成などが考えられる。H-Si表面上の光刺激水素脱離に関する報告例は多いものの脱離イオン観測がほとんどであり、中性脱離種に着目した表面反応の研究はきわめて少なく、STM観察により脱離後の表面を解析することの意義は大きい。 水素吸着表面はSi基板を超高真空下で清浄化した後、原子状水素を供給することにより形成させた。そこへ高輝度アンジュレータ光を照射した。照射後の表面には小さな明点が多数現れ、光照射により表面が変化することが分かった。この明点は水素脱離により生じたSiのダングリングボンドであると考えられ、光照射により水素が脱離することが示唆された。光刺激水素脱離の機構を明らかにするため、この明点密度と照射した光エネルギーとの関係を調べた。 光刺激脱離反応にはSi-H結合軌道電子励起によるMGR機構とSi 2P内殻電子励起によるNF機構が考えられる。アンジュレータから放射される光を、68eV、84eV、113eVと変化させ照射した結果、Si 2p内殻電子遷移付近で明点密度の大きな変化は観察されなかった。これはSi-H結合軌道電子励起が主要な脱離機構であることを示している。上記の研究結果は第14回真空紫外光物理学国際会議(VUV-14)、及び、第51回アメリカ真空学会(AVS-51)で報告された。
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Research Products
(2 results)