2003 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導ループ中の磁束量子を用いた量子コンピータの基礎的研究
Project/Area Number |
14750248
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野美 武 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (70312676)
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Keywords | 超伝導 / ジョセフソン接合 / 磁束量子 / 量子計算 |
Research Abstract |
超伝導磁束量子干渉計を用いた量子論理ゲートの実現に向けて、高抵抗微小ジョセフソン接合を含む超伝導ループ(SQUID)中の磁束量子の位置を利用した2準位系を実現するデバイスの集積化と測定を行った。集積化はNb/AlOx/Nbジョセフソン集積回路技術と電子ビーム露光による微細加工技術を用いて行われ、最小接合寸法1μm角までのジョセフソン接合が集積可能となっている。数種類のインダクタンス形状をもつSQUIDを設計・集積化して計測を行ったが、現在のところ2準位系の観測に至っていない。計測は、状態を観測する観測用SQUDのスイッチング確率によって2準位状態の判別を行うものであるが、2準位状態の違いによるスイッチング確率分布に明瞭周期性が見えていない。この原因としては、現在用いている観測系ではSQUIDを初期状態に設定し、観測用SQUIDを作動するためのパルスジェネレータがMHzオーダーの発振器であるため、観測するまでの時間に外来ノイズによる接合の臨界電流値の揺らぎやデバイスの熱雑音によるデコヒーレンス効果によって2準位状態に乱れが生ずるものと考えられる。従って、外来ノイズに対しては、シールド効果の高い測定治具の作製が必要であり、デバイスの熱雑音を低減するためには、液体ヘリウム温度以下での測定が要求され、希釈冷凍機を用いた計測が必要である。また、デコヒーレンス効果によって擾乱を受ける前に観測を行うためには、より高速な発振器を用いて計測を行う必要があると予測される。一方、本年度は量子論理ゲートを操作する系として有望な超伝導単一磁束量子回路において、乗算回路の基本回路を設計・試作し、実測による回路動作の実現が達成された。この結果は、量子計算と磁束量子回路の融合による計算機回路への展開という観点で重要な結果である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Horima, et al.: "Improved design for Parallel Multiplier based on Phase-Mode Logic"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. 13・2. 527-530 (2003)
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[Publications] T.Onomi, et al.: "Implementation of Phase-Mode Arithmetic Elements for Parallel Signal Processing"IEEE Transactions on Applied Superconductivity. 13・2. 583-586 (2003)
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[Publications] M.Kobori, et al.: "Design of component circuits for fast Fourier transform based on SFQ logic"Extendedn Abstracts of 9th International Superconductive Electronics Conference. PMo-23 (2003)
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[Publications] I.Shimizu, et al.: "Design and Implementation of the Parallel Multiplier using SFQ"Extendedn Abstracts of 9th International Superconductive Electronics Conference. PMo-29 (2003)
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[Publications] Y.Yamada, et al.: "Observation of the Emission from Bi-2212 Intrinsic Junctions in the Flux-flow State by Nb/AlO_x/Nb Junction"Abstracts of Second East Asia Symposium on Superconductive Electronics. 63 (2003)