2002 Fiscal Year Annual Research Report
景観に含まれる奥行き情報に着目した三次元物体認識における視点依存性の解析
Project/Area Number |
14750346
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
早坂 太一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (50314092)
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Keywords | 物体認識 / 視点依存性 / 心理物理実験 / 視覚計算論 / 知覚表象 / 観察者中心座標 / 対象物中心座標 |
Research Abstract |
視覚認知過程を実現するための脳内における知覚表象について解析するために、人間が三次元立体の対象物を判別する際の「視点依存性」に注目し、視覚計算論的アプローチにより考察を行なった。まず、新奇物体の判別課題を基に、物体の景観上の特徴が視点依存性に与える影響について、心理物理実験を通して解析を行なった。具体的には、被験者に対して二枚の景観画像を連続して瞬間的に呈示した後に、それらが同じ物体の景観であったか否かを、正確かつできるだけ速く回答するように教示した。ここで、同じ物体の景観が二枚呈示された場合でも、二枚目の景観は一枚目の景観と視点が異なっている可能性がある。二つの景観の視点差に伴う認識コスト増加の度合いを「視点依存性の強さ」として定義し、対象物の立体情報を想起させるエッジ成分を実験条件として操作することにより、視点依存性への影響が物体群の持つ構造的特徴によって異なるという結果を得た。これを踏まえて、認識結果に対する視点変化の影響を表現できる「観察者中心座標の知覚表象」による処理過程、および物体群による刺激画像呈示条件の影響の相違を表現できる「対象物中心座標の知覚表象」による処理過程を統合した視覚認知モデルを構築し、複数の機構により視覚認知処理が実現されていることを計算論的に検証した。ただし、この数理モデルには、物体群や視覚刺激画像に依存したパラメータがトップダウン的に与えられており、来年度はこうした問題について、視覚的注意の影響などの考え方と併せて、さらなる検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)