2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポーリング制御した圧電フィルムによる3次元音響撮像用符号化アレイ圧電素子の開発
Project/Area Number |
14750349
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
村田 頼信 和歌山大学, システム工学部, 助手 (50283958)
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Keywords | 高分子圧電材料 / P (VDF-TrFE) / 超音波トランスデューサ / 積層圧電フィルム / ポーリング |
Research Abstract |
本研究では,音響撮像用の低周波超音波素子を作製するために,高分子圧電フィルムを積層することを検討した.P (VDF-TrFE)などの高分子圧電材料を圧電素子として使う場合,まずこれらをフィルム状に成形し,分極(ポーリング)処理を行う必要がある.このとき圧電素子の周波数特性はフィルム化した厚みに依存する.高分子圧電材料で音響撮像や超音波非破壊検査用の超音波トランスデューサを作製する場合,低い(5MHz以下)周波数特性の圧電素子が必要であり,これを単層圧電フィルムで構成することは困難である.この理由は,圧電フィルムの厚みが大きくなると,(1)分極処理が難しい,(2)電気インピーダンスが高くなり整合が困難といった欠点を持つためである.そこで,熱処理・分極処理を施した膜厚約50μmの高分子圧電フィルムをエポキシ系接着剤で積層化し,5MHz以下の周波数特性を持つ圧電素子の作製を試みた.圧電フイルムの間に電極を入れ,各圧電フィルムの分極方向が並列の場合と直列の場合について検討した.積層した圧電フィルムの共振特性を調べるために,インピーダンスアナライザで周波数に対するインピーダンスと位相の変化を測定した.この結果,電極及び接着層を含む全体の膜厚から求められる1/2波長励振の共振周波数に近い周波数で共振特性が得られた.このことから,積層した圧電フィルムが一体となって振動しており,膜厚の増加に伴いより低い周波数特性が得られることが確認できた.また,分極方向を並列に積層した圧電フィルムのほうがはっきりした共振カーブを描いた.これは,並列に積層することによって,一つ一つの高分子圧電フィルムの電圧勾配が大きくなり,また電極面積が拡大することで電気インピーダンスが下がり,共振特性が向上したと考察した.以上の研究成果から,並列積層により高感度な低周波数特性の高分子圧電素子が作製可能であることが分かった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Murata: "Development of a wide-band ultrasonic transducer with low frequency characteristic using laminated piezoelectric copolymer"Proc.of the 6th Far East Conference on Non-Destructive Testing. 135-140 (2002)
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[Publications] H.Toda: "Non-destructive evaluation of the integrity of electrofusion joint in PE gas pipes using a focused ultrasonic"Proc.of the 6th Far East Conference on Non-Destructive Testing. 517-522 (2002)