2002 Fiscal Year Annual Research Report
自己充填コンクリート用分離低減剤の性能評価と作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
14750387
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
日比野 誠 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (90313569)
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Keywords | 自己充填コンクリート / 分離低減剤 / 高性能AE減水剤 / 練混ぜ方法 / 粒子分散作用 |
Research Abstract |
本研究では,自己充填コンクリートに使用される分離低減剤に期待される効果のうち配合要因の変動に対して品質変化を抑制する流動性安定効果の作用メカニズムの検討を行なった. 流動性安定効果の作用メカニズムには,分離低減剤と同時に使用される高性能AE減水剤との相互作用が影響を及ぼしていることを明らかにし,高性能AE減水剤を単体で使用した場合の挙動について検討を行なった.特に製造時に重要となる練混ぜ方法の違いによる高性能AE減水剤の粒子分散挙動について調査した.その結果,セメントが水に接水した瞬間の水セメントの違いによってその後の水和反応の進行が異なり,高性能AE減水剤の粒子分散作用が影響を受けていることが明らかとなった.初期に極少量の水と接触した場合は,瞬間的な水和反応が生じるが,その後の粒子表面での反応が抑制され,高性能AE減水剤の粒子分散効果は活発に発揮されることが明らかとなった.逆にこのような練混ぜ方法では,添加率の変化や温度の影響および時間経過の影響を大きく受けて,流動性の制御がより困難となることを明らかにした.このように高性能AE減水剤の粒子分散作用が非常に効率良く発揮されている状態では,コンクリートの流動性は配合要因および環境条件の変動の影響を敏感に受けると考えられる.これに対して分離低減剤を添加した配合では,高性能AE減水剤の粒子分散作用が抑制されていると考えられる.作用のメカニズムは分離低減剤の種類によって異なり,特に水溶性が高い物はペース途中の液相の粘性を上げることで粒子間距離の過大な変化を抑制していると考えられる.またセルロース系増粘剤はセメント粒子表面に吸着することで高性能AE減水剤の吸着を妨げ,かつ粒子間に架橋を形成し,粒子分散作用を低減しているものと推測される.
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