2002 Fiscal Year Annual Research Report
鋼製橋脚における低サイクル疲労き裂を起点とする地震時脆性破壊防止に関する研究
Project/Area Number |
14750398
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐々木 栄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40311659)
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Keywords | 鋼製橋脚 / 低サイクル疲労 / 脆性破壊 / き裂先端 |
Research Abstract |
本年度は,本研究の初年度として,(1)低サイクル疲労き裂の発生・進展挙動,(2)低サイクル疲労き裂先端形状の変化,(3)低サイクル疲労き裂からの脆性破壊発生について検討を行った.その成果を以下に示す. (1)低サイクル疲労き裂の発生・進展挙動 鋼製橋脚で実際にどのようなき裂が生し,どのように進展するのかを調べるため,鋼製橋脚の様々な溶接継手部に対応するモデルとして,小型溶接継手試験体を製作し,低サイクル疲労試験を行った.その結果,溶接止端部から10mmの位置で測定したひずみが6%を超える条件では,10回以下の繰り返しひずみでき裂が発生し,特に,縦リブ溶接継手では発見時に10mmを超えるき裂が発生することを明らかとなった.また,き裂先端を切り出し後その開口変位を測定し,ひずみレベルが大きくなるにつれて,き裂先端の開口が大きくなることを示し,例えば,ひずみレベルが9%の場合,0.7mmと非常に大きくなる可能性があることを明らかにした. (2)低サイクル疲労き裂先端形状の変化 溶接継手試験体では,低サイクル疲労き裂の発生とその後のひずみ履歴を受ける中での時々刻々のき裂先端の状況が把握しにくいことが予想されたため,側面からき裂先端が随時観察可能な2次元き裂を導入した小型試験体を用いた低サイクル疲労試験を行った.その結果,繰返し塑性ひずみを受けて発生する低サイクル疲労き裂の先端は,ひずみ履歴の影響を受け,き裂が開閉口を繰返す過程で,鈍い状態と,鋭い状態の2つの状態にあることを示した. (3)低サイクル疲労き裂からの脆性破壊発生 低サイクル疲労き裂からの脆性破壊の発生を実際に再現し,低サイクル疲労き裂から脆性破壊へ移行する挙動を把握するため,(1)で行った実験を低靭性鋼材を用いた試験体について同様に実施し,0℃27ジュールを下回る鋼材では,室温でも低サイクル疲労き裂を起点として,脆性破壊が発生する可能性があることを示した.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 佐々木栄一, 福田有樹, 三木千壽, 市川篤司: "鋼製鋼脚に発生する低サイクル疲労き裂とそれを起点とした脆性破壊の可能性"第57回土木学会年次学術講演会概要集. (CD-ROM). (2002)