2002 Fiscal Year Annual Research Report
濃尾平野に見られる広域地盤沈下の地盤力学的諸特徴の把握とその数値シミュレーション
Project/Area Number |
14750413
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金田 一広 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (30314040)
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Keywords | 自然堆積土 / 構造 / 過圧密 / 異方性 / 地下水低下 / 地盤沈下 / 有限要素法 / 軟化 |
Research Abstract |
名古屋西郊に見られる広域地盤沈下のメカニズムを水〜土連成有限変形計算によって調べた。構成式は構造・過圧密・異方性の力学挙動を表現できる回転硬化上・下負荷面修正カムクレイモデルを用いている。得られた主要な結論を以下に述べる。 1)1層系1次元変形を仮定して、粘土地盤は初期に構造、若干な過圧密、異方性を有しているとする。揚水を地下水位低下とみなして、粘土層下部の水理境界を変動させる。地下水位を低下させると、地盤深部から構造の喪失に起因する塑性圧縮軟化が見られ、通常の圧密とは異なる「遅れ圧密沈下」が見られる。地下水位を回復させても、いったん塑性圧縮軟化を起こした土要素はしばらく続きその間沈下が進むため、地盤が元に戻ることがないことを数値シミュレーションで示した。これは濃尾平野に見られる地盤沈下の傾向に類似しており、濃尾平野の地盤沈下が構造の喪失による塑性圧縮軟化を受けている可能性があることを示した。 2)多層系1次元を仮定して、粘土3層、砂3層の互層地盤について数値シミュレーションを行なった。3つの砂層はすべて同じものとし、3つの粘土層は構造、過圧密の程度および透水係数を変化させて区別した。地盤上部にある粘土層下部の砂層の地下水位をある地下水位まで低下させて、その地下水位の半分まで回復させその後一定に保った。1層系の計算同様、構造の喪失による塑性圧縮軟化が各粘土層で起こり遅れ圧密沈下が見られた。地盤上部の不完全な揚水規制が地盤深部の粘土層にまで数十年から数百年に亘って影響を及ぼし、大沈下を起こす可能性があることも数値計算で示した。濃尾平野がそのまま当てはまらないが、今後は地盤沈下の履歴、地下水位の変動、及び地盤材料などを調査し、多次元に拡張する必要があると考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Asaoka A., Noda T., Yamada E., Kaneda K., Nakano M.: "An elasto-plastic description of two distinct volume change mechanisms of soils"Soils and Foundations. 42・5. 47-57 (2002)
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[Publications] 田代むつみ, 金田一広, 浅岡顕, 中野正樹, 野田利弘: "液相から固相への変化を考慮した粘土の弾塑性構成式とその水〜土連成解析"第14回地盤工学会中部支部シンポジウム論文集 (人工地盤の工学的問題). 7-14
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[Publications] 金田一広, 浅岡顕, 中野正樹, 野田利弘, 山田英司, 中井健太郎: "構造・過圧密・異方性の3つの発展則を有する砂の弾塑性構成式"第37回地盤工学研究発表会論文講演集. 483-484