2003 Fiscal Year Annual Research Report
貯水池水面変動の水理特性と降雨流出過程を考慮したダム流入量推定技術の構築
Project/Area Number |
14750434
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 洋之 石川工業高等専門学校, 助手 (70342491)
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Keywords | ダム推定流入量 / 流出モデル / 貯水位平滑化フィルタ / カルマンフルタ / 二風谷ダム |
Research Abstract |
今年度の研究では(1)降雨と水位の情報を併用した流入量推定法の定式化(2)計測水位から水面振動に関する事前情報なしで静水位を推定する同期加減算処理の精度評価(3)新たな貯水池を対象にした水面振動解析を行った. (1)ではシステム方程式に採用した貯留型流出モデルに観測値として過去の研究で提案した貯水位平滑化フィルタによる推定流量を与えるカルマンフィルタの定式化を試みた。本手法で得た流入量には降雨情報が流出モデルの強制入力で与えられると同時に、水位情報が観測方程式から取り込まれる貯水位平滑化フィルタによる推定流量に含まれている。また、貯水位平滑化フィルタは水面振動の水理特性を考慮して設計されることから、本流量推定法は水面振動の水理特性と降雨流出過程がそれぞれ観測流量とシステム方程式で考慮された手法となる。実水位データを用いた試験計算から貯水位平滑化フィルタで得た流量に現れるノイズや位相特性に由来する時間遅れの問題が解消できる可能性を示した。今後、シミュレーション等によりカルマンフィルタの状態推定誤差分散の初期値や観測誤差分散の推定精度への影響を明らかにすると共に,これらのパラメータの決定指針を示すことが本手法の実用化に必要である。(2)では同期加減算処理の誤差評価を行ったところ、規模の小さいダムでは遅れ時間を伴うものの良好な流量推定が可能であること、本手法はダム管理所で水位平滑化法に通常使われている移動平均処理よりも精度の高い推定性能を持つことが確認された。この手法で得られた流入量は(1)で開発した手法の観測流量に採用できることから今後の有用性が期待される。(3)では新たに二風谷ダム貯水池を対象としたセイシュの実態把握を行ったところ約2000秒の最長周期を有するセイシュが確認された。今後は二風谷ダム貯水池も含めて流量推定法を検証して本手法の汎用性を確認したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 鈴木洋之,, 野口健太郎, 長谷川和義, 石田享平: "同期加減算処理を用いた定山渓ダム貯水池への流入量推定の試み"土木学会論文集. No.754, II-66. 101-106 (2004)
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[Publications] 鈴木洋之, 河田悦子, 石田享平: "流出モデルと貯水位平滑化フィルタを併用したダム流入量推定の試み"石川工業高等専門学校紀要. 第36号. 65-71 (2004)
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[Publications] 鈴木洋之, 河田悦子: "ディジタルフィルタと貯留型流出モデルで推定されたダム流入量の比較"土木学会中部支部平成15年度研究発表会講演概要集. 127-128 (2004)
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[Publications] 鈴木洋之, 大橋元気, 長谷川和義, 石田享平: "二風谷ダム貯水池の水面振動特性について"土木学会中部支部平成15年度研究発表会講演概要集. 129-130 (2004)
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[Publications] 鈴木洋之, 野口健太郎, 長谷川和義, 石田享平: "同期加減算処理によるダム貯水池流入量の推定"土木学会年次学術講演会講演概要集. II-249(CD-ROM). (2003)
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[Publications] 野口健太郎, 鈴木洋之, 田所嘉昭: "周波数シフトと同期加減算処理を用いたトレンド成分推定の性能改善"電子情報通信学会ソサイエティ大会. A-4-7. (2003)