2002 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチック添加剤Bis-phenolAによる乳がん発症リスクの評価
Project/Area Number |
14750459
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 亜紀 京都大学, 工学研究科, 助手 (10335200)
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Keywords | Bis-phenol A / 17β-Estradiol / 内分泌撹乱物質 / 乳癌 |
Research Abstract |
本研究は、乳癌のプロモーターであるエストロゲンを指標として内分泌撹乱物質Bis-phenolA(以下、BPAと記す)による乳癌発生率の増加を定量的に評価することを目的としている。まずヒト乳癌細胞MCF-7を用いる細胞増殖試験をBPAおよび17β-Estradiolについて行い、その容量反応関係からBPAの17β-Estradiol当量を求めた。処理濃度x[nM]、細胞数をy[cells]として、Michaelis-Menten型の回帰式を求めた。回帰式は以下の通りである。 Estradiol:y=11.50x/(2.33+x)(R=0.9668) BPA:y=43.19x/(66.30+x)(R=0.8495) この結果からエストラジオール1[nM]に相当するBPA,濃度は5.77[nM]となることが分かった。 次に、日本人のBPA曝露量の推定も行った。平均的日本人にとって最も重要なBPA曝露経路は、水道水の飲用が考えられるが、水道水中のBPA測定データから日本人のBPA平均曝露量を推定したところ、一日辺りの最大摂取量は0.006μg/dayとなった。缶飲料・缶詰の内部コーティング塗料として使用されるエポキシ樹脂からのBPA溶出が指摘されているため、缶飲料由来のBPA曝露量を推定した。一日あたりの摂取量は缶飲料を飲む量に依存するが、仮にコーヒー缶250gを毎日一缶消費する人の場合、その曝露量は最大で53.3μg/dayとなることが分かつた。
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