2002 Fiscal Year Annual Research Report
行動評価アプローチによる交通環境に対する態度と交通行動の変容に関する研究
Project/Area Number |
14750461
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 暢彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80273598)
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Keywords | 行動評価アプローチ / 態度変容 / 行動変容 / 心理学的方略 / 環境配慮行動 / 交通行動 |
Research Abstract |
国内外で実施されてきた交通行動を対象とした心理学的アプローチをレビュー,検討した.多くの事例では10〜20%の自動車交通量の削減が報告されており,自動車交通量の抑制手法として潜在的に有効な政策であることがわかった.さらに,環境配慮行動に関する社会心理学的に知見に基づくと,自動車利用のように代替行動の選択肢が多岐に渡る場合には,行動評価アプローチや行動プラン法が有効であることが示唆された.しかしながら,実社会に導入するためには1週間のダイアリーデータの収集が必要となり,このままでは実行可能性が低いと考えられる.そこで,交通行動変容の心理的方略トラベルフィードバックプログラムの課題の一つである手続き簡略化について取り上げた.トラベルフィードバックプログラムはこれまで1週間のダイアリーデータに基づいた行動プランの提示を行ってきた.これを1日間のダイアリーデータに簡略化したときの態度,行動変容に及ぼす影響を大阪市西淀川区の住民を被験者とした心理学的実験を通して検証した.その結果,1日間に短縮した場合でも平日の自動車の利用削減効果が有意となった.このことから,パーソントリップ調査でのダイアリーデータをトラペルフィードバックプログラムへ活用すれば,都市圏マスタープラン策定という目的以外に自動車利用の抑制を目的とした心理的方略としても効果が期待できることが示唆された.課題としては,心理学的方略の効果と代替交通手段の整備水準の関係があげられる.今回のフィールド調査対象地域は自転車道,鉄道網が整備され,比較的自動車の代替交通手段が整備されている地域であるため,よりサービス水準が低い地域での検証が必要とされる.
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