2002 Fiscal Year Annual Research Report
高拘束補強を用いてヒンジ発生位置を限定した鉄筋コンクリート柱部材の開発
Project/Area Number |
14750478
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 一蔵 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40234215)
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Keywords | 鉄筋コンクリート柱 / 変形能 / 重度の横補強筋 / 変形集中 / 塑性ヒンジ / 曲げせん断挙動 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート(RC)柱部材において,補修領域の明確化と,その変形機構の解明の容易化を目的として,部材の塑性ヒンジ発生位置を重度の横補強筋を用いることにより限定したRC柱部材の曲げせん断実験を行った。試験体数は6体であり、実構造物のおよそ1/3スケール(250mm×250mm角形断面、部材長1000mm)。載荷条件は、軸力比0.3、履歴を部材角1/50、1/30での各3回正負交番とした。得られた知見を以下に示す。 (1)重度の横補強筋の配置の有無にかかわらず,引張側に発生する主たるひび割れ本数は同じ(3本)であり,ヒンジ部の変形の5割以上がスタブ極近傍に発生するひび割れに起因している。 (2)柱脚部の重度の横補強は,主筋-コンクリート間の付着を低下させるため,2番目(スタブ側から数えて)のひび割れ発生位置は通常配筋のものに比べて柱中央よりとなる。 (3)部材中央よりの重度の横補強は,せん断ひび割れの進展を抑制する点では効果があるが,コンクリートを拘束することによる塑性ヒンジ発生位置を限定させる点においては効果がない。 (4)部材角1/100を超える変形域において,柱脚に重度の補強筋を配置した部材では,配置されない部材に比べてスタブ極近傍でのコンクリート圧縮縁ひずみの集中を緩和できる。また,ヒンジ部での回転のスタブ極近傍への集中を抑制できる。 (5)デジタルカメラを用いたスタブ極近傍の圧縮縁ひずみの値は,通常のコンクリート圧縮強度時ひずみの数倍の値となることから,相当量の柱部のスタブ部へのめりこみを予想することが妥当である。 本研究は平成15年度継続であり、平成14年度の成果を基に、曲げ変形機構の解明とより効果的な補強筋配置法について研究を行う予定である。
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