2002 Fiscal Year Annual Research Report
「住まうかたち」からみた高齢者居住施設の施設環境のあり方に関する研究
Project/Area Number |
14750516
|
Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 講師 (90337197)
|
Keywords | 特別養護老人ホーム / 新型特養 / ユニットケア / 直接介護 / 生活を支えるケア / 住まうかたち / 生活行動 |
Research Abstract |
本年度は2つの特別養護老人ホーム(従来型の特別養護老人ホーム/宮城県鳴瀬町「不老園」と新型(個室・ユニットケア型)の特別養護老人ホーム/千葉県八街市「風の村」)における調査を行った。 両施設において、ケアスタッフの介護の質的・量的な調査、および入居者の生活行動および空間利用に関する調査を行った。調査は行動観察調査により、スタッフの調査では午前5時から午後9時まで、調査日における全スタッフの1分間隔での記録調査、入居者の調査では午前7時から午後7時までの10分間隔での観察記録調査を中心とした。 調査より、空間の形態およびケアスタッフの量的な配置の相違などから、ケアにおける相違が明らかになり、その相違が利用者である高齢者の施設での「住まうかたち」に大きく影響を及ぼしていることが明らかになった。 特に従来型の施設では、直接的なケア(食事・排泄・入浴)が大きな比重を占め、入居者の生活を間接的に支えること、また直接的な身体ケアから離れて関わりを持つような、生活を支えるケアの割合が非常に少ないことが明らかになった。一方で、新しい形の施設ではスタッフの量的な充実により、入居者への直接的なケアの従来型施設とは変わらない量を確保した中で、生活を支える間接的なケアが非常に多くの割合を占めていることが明らかになった。併せて行った高齢者の空間利用や生活の個別展開の事例考察から、この生活を支える間接的なケアが利用者の生活の一定以上の質を支え、住まいとしての生活を支えている部分であることも明らかになった。また、それらを支える空間的なしつらえのあり方が大きく影響していることも明らかになった。ケアと空間の相違がもたらす「住まうかたち」の相違の様態を明らかにした。
|
Research Products
(1 results)