2003 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの伝統的集落及び住居における方向性に関する比較研究(沖縄八重山諸島,北海道アイヌ民族,台湾原住民族,韓国の伝統的集を例として)
Project/Area Number |
14750519
|
Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
伊藤 真奈美 東京家政学院大学, 人文学部, 助手 (30301518)
|
Keywords | 八重山列島 / アイヌ / 台湾原住民 / 韓国民俗村 / 伝統的集落・住居 / 方向性 / 風水思想 / 住まい方 |
Research Abstract |
平成15年度は,東アジア地域の伝統的集落及び家屋調査,風水思想の影響に重点をおいた現地調査・文献資料調査が主な実施計画であったが,九州大学/竹下教授、(財)アイヌ民族博物館/山丸氏、同/村木氏、(財)アイヌ文化振興・研究推進機構/秋野氏、福岡市野村氏、自治体及び台湾逢甲大学/郭副教授、台湾山地文化園区/陳局長、韓国弘盆大学校/韓教授等の協力を得て現地調査を行い、現在資料の検討及びデータベース化を行っている。 本年度の研究経過報告として、以下の結果が得られた。 ・平成14年度の事前調査によって,タイやベトナムの北部山間地に居住する少数民族には、男女・年齢・時間軸等によって居住空間を使い分ける例がみられたため,調査地域の拡大を検討し,タイ北部地域の山岳民族集落及び家屋の現地調査を行った。その結果,男女別の空間が存在するほか、幹線道路沿いに家屋の棟方向が平行する点、起伏のある集落では等高線に沿って家屋の棟が配置される点、屋外空間である露台において男女・年齢別における生活時間の差異が見られることが分かった。 ・タイ王国の風水について、バンコク地域では王宮を例として、チェンマイ地域との比較を行った。国土が南北に長く、北部と南部では地形も異なることから、これら2地域に分けて考えた場合、南部バンコク地域には西側に豊かなチャオプラヤ川が流れるが、地形は平坦で起伏に乏しいことから、北部チェンマイ地域のほうが水と山に恵まれ、風水の点からは注目すべき地域ではないかとの結論を得たが、今後再検討を行う予定である。 ・台湾蘭嶼島ヤミ族の集落において,家屋配置は日の出・日の入が基準となる東西方向の軸線ではなく,海と山という軸線によって家屋の方向性が見いだされることが分かった。 ・そのほか,韓国済州島の家屋構成は本土とは大きく異なり,男女別の居室はなく,夫婦で1室を使用するという見解を得たが,今後さらに実証していく必要がある。
|