2003 Fiscal Year Annual Research Report
明治期からの東京における庭園を中心とした旧大名所有地用途の変遷に関する研究
Project/Area Number |
14750523
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野村 悦子 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (60277837)
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Keywords | 地籍台帳 / 土地所有 / 大名庭園 |
Research Abstract |
都市計画のような外側からの力だけで都市は変化するのではなく、「計画」という概念では計り知れない内側からの変化、すなわち土地所有者たちが都市を変えていったのではないかという視点で、東京の市街地宅地所有に関する実証的研究を行う。江戸の市街地の約7割を占めていた武家地が明治維新後にどのような経緯で所有者が変わり、用途が変わったのか、すなわち旧大名の広大な所有地が、どのような変遷を経て今日に至るのか、庭園として保存された事例とそうでないものの事例にはどのような違いがあったのかを把握するためするため、本年度は、昨年度データベース化を行った明治11年の地籍台帳『東京地主案内』と、これまでにデータベース化を終えている明治45年の地籍台帳、昭和6年の地籍台帳、昭和27年の土地要覧を用いて、東京市における土地所有の変遷が明確になる地図を作成した。明治4年の廃藩置県、そして地券発行、地租改正の歴史的流れを分析しながら、東京における明治初期の土地所有を明示し、市区改正期、震災復興事業期、戦災復興事業期などの各時代の都市政策などと照らし合わせながら、土地所有の変遷が東京市形成に及ぼした影響を分析した。また昨年度に引き続き、東京に現存する大名庭園12箇所について文献調査し、庭園もしくは公園として残った経緯をまとめ、一方で公園として保存されなかった旧大名所有地がどのような所有の変遷をたどったのか、調査を行った。旧大名の明治末期の所有地のうち、現在、教育機関、公機関、公園等になっているものが多かったのは、明治維新後に所有を許された旧藩邸等の一箇所の所有地ではなく、明治末期に財力によって集積した旧大名らの土地で、一度は小さな筆に分筆されたものを合筆したものであり、これらは大名庭園として現存するものとは違うアプローチで広大な土地を残していることがわかった。
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Research Products
(1 results)