2003 Fiscal Year Annual Research Report
南米ブラジル日系移民の住空間における文化的側面から見た変遷要因に関する研究
Project/Area Number |
14750538
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
熊谷 広子 宮城工業高等専門学校, 建築学科, 助手 (10300518)
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Keywords | 住居 / 指針 / 衛生 / 合理性 / 経済性 |
Research Abstract |
本年度は第2次世界大戦以前にブラジルにおいて発行された邦字新聞である伯刺西爾時報に掲載された記事のうち1928年から1941年分と、同じく戦前発行の同人雑誌、移住組合等の各種団体による冊子の調査を行った。ブラジル日本移民史料館での調査期間は2003/7/21〜9/8である。 伯刺西爾時報に関して、主に生活・習慣・風俗・行事に関する記事の抜粋と整理とを行なった結果、1929年から1937年までの紙上では他系移民による移住地の生活や住居を紹介する記事や、それらとの比較の観点から日本人移民の住居改善を促す記事がいくつか見られた。またブラジル拓殖組合により、移住者が理想とする農村住宅の懸賞募集が行なわれていた事実も明らかになり、それまで史料館に所蔵されていたものの、目的と年代が不明であった住宅案がその応募案であることが判明した。1938年以降については主に政治や戦争に関する記事が主体となり、住生活に関する記事は見られなかった。 数種の同人雑誌のうち、住居に関する記述が見られたのは「家庭と健康」と「農業のブラジル」である。「家庭と健康」には衛生と経済性とに配慮した住居建設の指針が、「農業のブラジル」には移住者による住宅の有り様に関する投稿記事が掲載されている。また大阪商船株式会社による「移住地衛生の栞」(1929年9月発行)と在ブラジル日本人同仁会による「亜熱帯移住地向き家の建て方」(同年12月発行)には、主に衛生と合理性に配慮した住居建設上の指針と具体的住宅案が掲載されている。これらは移住者の住居建設に影響を与えたと考えられ、現在そのことについての検討をおこなっている。少なくともサンパウロ州バストス移住地に関してはその指針にそったと考えられる住宅が過去に存在していたことが分かり、このことについては平成16年6月に開催される日本建築学会東北支部研究報告会で発表する。
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Research Products
(1 results)