2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750571
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 克志 東京大学, 工学部附属総合試験所, 助手 (20334310)
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Keywords | アモルファス / 高温安定性 / 結合欠損 / 分子動力学 / シミュレーション / 第一原理計算 / 擬ポテンシャル / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究では、非晶質Si-N系材料について原子レベルのネットワーク構造とその量子構造を明らかにし、この材料の有する超高温安定性および高温強度の起源を解明することにより分子設計指針を得ようとするものである。平成14年度において得られた研究成果および新たな知見についてまとめると以下のようになる。 (1)非晶質構造モデルを、経験的ポテンシャル関数に基づく分子動力学法を用いて構築した。原子間相互作用として共有結合性を表現するポテンシャル関数を用いた。得られた非晶質構造を解析したところ、実験的に報告されている原子配位数をよく再現することが判明し、構造モデルの妥当性を確認した。また炭素などの添加による組成依存性についても十分な精度で再現することを確認した。 (2)(1)で得られた構造モデルに基づき、非晶質Si-Nの化学結合状態を明らかするため、第一原理擬ポテンシャル法について基礎的検討を行った、まず十分な計算精度を実現する擬ポテンシャルの構築を行い、各種結晶固体構造の格子定数および弾性定数を算出することにより擬ポテンシャルの妥当性を確認した。次に、非晶質構造の第一原理計算は100原子程度を含むスーパーセルを取り扱う必要があるため、このような大規模系の高速演算に必要なアルゴリズムとして共役勾配法の検討を行った。 (3)上記の構造モデルおよび計算アルゴリズムを用いて、非晶質Si-N、Si-C-Nの電子構造の計算に着手した。(1)の経験的ポテンシャル関数による構造モデルをについて、第一原理計算による構造最適化を行った。その結果、非晶質特有の配位数欠損近傍では結合距離・角度のゆがみが大きいことが判明した。また電子状態解析の結果、非晶質Si-Nはバンドギャップ中に多くの欠陥準位を形成し、半導体的電子構造に近づいていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Matsunaga, Y.Iwamoto, Y.Ikuhara: "Atomic structure and diffusion in amorphous Si-B-C_N by molecular dynamics simulation"Materials Transaction. 43. 1506-1511 (2002)
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[Publications] K.Otsuka, A.Nakamura, A.Kuwabara, T.Yamamoto, K.Matsunaga, Y.Ikuhara: "Dislocation-enhanced ionic conductivity of yttria-stabilized zirconia"Applied Physics Letter. 82. 877-879 (2003)