2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラスマルテンサイトの高強度化に対する組織制御法としての転位強化の利用
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14750575
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森戸 茂一 京都大学, 工学研究科, 助手 (00301242)
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Keywords | ラスマルテンサイト / 転位強化 / 高強度鋼 / 投下型電子顕微鏡法 / 転位密度測定 / 転位組織 |
Research Abstract |
本年度はFe-2ONi-5.4Mn(mass%)合金を使ってオーステナイト中の転位がマルテンサイトに受け継がれる挙動について透過型電子顕微鏡を用いて調べた。 まず、オーステナイトを加工しオーステナイト中に転位壁を導入させてその受け継ぎ挙動を観察した。その結果、オーステナイトからラスマルテンサイト中に連続してつながっている転位壁が観察された。このマルテンサイト内の転位壁はオーステナイト内の転位壁がマルテンサイト変態したときに変換される転位壁と同じ面にあり、この事からオーステナイト中の転位壁がマルテンサイト中にそのまま受け継がれることが分かった。また、個々の転位についてマルテンサイトへの受け継ぎ挙動を調べた。その結果、オーステナイトからマルテンサイトに受け継がれている転位を観察できた。これらの転位のバーガースペクトルとすべり面を同定したところ、マルテンサイト内の転位はオーステナイトの転位がマルテンサイト変態したときに変換される転位と同じ性質を持っていた。以上のことから、オーステナイト中の個々の転位もラスマルテンサイト中に受け継がれることが明らかになった。この加工を施したオーステナイトとそこから生じたラスマルテンサイトの転位密度を無加工のオーステナイトとマルテンサイトの転位密度と比較したところ、オーステナイトを加工して導入された転位密度は、加工を施されたオーステナイトから生じたマルテンサイトの転位密度と加工を施していないマルテンサイトの転位密度との差分と一致していた。以上のことからオーステナイト中の転位は全てマルテンサイトの中に受け継がれることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Morito, T.Furuhara, T.Maki: "Morphology, Substructure and Crystallography of Lath Martensite in Fe-C Alloys"Proceeding of International Conference on Martensitic Transformations (ICOMAT) 2002. (印刷中).
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[Publications] J.Nishikawa, S.Morito, T.Maki: "Effect of Carbon and Nickel Contents on Dislocation Structure in Ferrous Lath Martensite"Current Advances in Materials and Processes. 15. 1139 (2002)
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[Publications] S.Morito, H.Tanaka, R.Konishi, T.Maki: "The Morphology and Crystallography of Lath Martensite in Fe-C Alloys"Acta Materialia. 51. 1789 (2003)