2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ多層膜を用いた表面コーティングによる疲労き裂核形成の抑制
Project/Area Number |
14750578
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
兼子 佳久 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40283098)
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Keywords | めっき / 多層膜 / ナノ構造 / 銅 / ニッケル / 硬度 |
Research Abstract |
電気めっきを利用して金属の表面に多層膜を形成し,その多層膜間隔をナノメータオーダーまで減少させることによって金属表面を強化することを目的として研究を行った.本研究では1つのめっき用電解液からめっき電位を制御することによって2種類の金属を選択的に析出させる方法を採用した.アミド硫酸ニッケル4水和物と硫酸銅を混合させることによって,そのような方法の多層膜めっきに最適な電解液を作製した.多層膜めっき時の電位は-30mV vs SHEおよび-650mV vs SHEの条件で行った.それぞれの電位条件で白金上に析出させ,EDS分析を行った結果,-30mVでは純度99%Cuの析出,-650mVではNi-8%Cu合金の析出を確認した.それらの金属から構成される多層膜を形成するために,2種類の電位を矩形波的に交互に負荷した.矩形波を与える周期をコンピュータで制御することによって,層間隔が3nmから500nmまでの多層膜を銅基盤上に形成した.層間隔に関わらず,多層膜全体の厚さは1μmとした.作製したナノ多層膜の強度を評価するために,押込み荷重0.5gfの条件で微小ビッカース硬さ試験を行った.多層膜のビッカース硬さは層間隔に依存して大きく変化した.層間隔を500nmから徐々に減少させていくと,50nmまでは層間隔の平方根に反比例して(すなわちHall-Petchの法則に従って),硬度は増加した.さらに層間隔を減少させると層間隔10nmで硬度は極大となり,さらに減少させると逆に減少した.硬度の極大値は170Hvにも達した.これは銅基盤の3倍以上の硬度である.
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