2002 Fiscal Year Annual Research Report
複合材料の拡散律速変形における線形クリープ方程式の導出と実験的検証
Project/Area Number |
14750580
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Research Institution | Institute of Space and Astronautical Science |
Principal Investigator |
北薗 幸一 宇宙科学研究所, 宇宙輸送研究系, 助手 (20321573)
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Keywords | 複合材料 / クリープ / 界面拡散 / 緩和 / 界面滑り / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
金属基複合材料の定常クリープ変形について,連続体マイクロメカニックスモデルによる定式化を試みた.高温で実現可能な緩和機構として,マトリックスと介在物の界面における拡散緩和とマトリックス金属の不均一な塑性変形による塑性緩和を考慮した.それにより介在物分散金属基複合材料の定常クリープ挙動が,拡散緩和速度を境界として,ひずみ速度が大きい領域は緩和律速,小さい領域は完全拡散緩和領域であることを発見した.また従来知られていたしきい応力挙動は,完全拡散緩和領域に入り,複合強化挙動は緩和律速領域に入ることがわかった. 低応力域における分散強化,中間応力域における複合軟化,高応力域に複合強化を考慮すると,金属基複合材料の定常クリープ挙動の両対数プロットは,S字を描くことが予想される.これを確認するために,Ti-TiB複合材料を用いた実験を行った.本材料は,粉末冶金法により作製され,TiとTiB_2の反応焼結により繊維状のTiB相が生成される.介在物の界面結合が強いために剥離が生じにくい材料である. 高周波誘導加熱方式による圧縮クリープ試験を真空中で行った.1123Kにおける定常クリープ速度を応力に対してプロットすると,明確な応力指数の変化が確認され,S字曲線が得られた.また変形の活性化エネルギーを温度依存性から測定した結果,完全拡散緩和領域で220kJ/mol,205kJ/mol拡散緩和律速領域(応力指数1)で154kJ/mol,128kJ/mol,塑性緩和律速領域で218kJ/mol,203kJ/molとなった.Tiマトリックスの体積拡散の活性化エネルギーが241kJ/mol,粒界拡散の活性化エネルギーが121kJ/molであることから,クリープ変形機構が,マイクロメカニックスモデルからの予測とよく一致することが確認された.
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