2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶組織を有する高強度Al合金素形材を創製する温間・異方向圧延プロセスの開発
Project/Area Number |
14750584
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
古井 光明 富山大学, 工学部, 助手 (90262972)
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Keywords | 温間・異方向圧延 / 結晶粒超微細化 / 組織制御 / 動的連続再結晶 / 高角粒界 |
Research Abstract |
高純度の純Al, Al-1%Mn合金,Al-3%Mg合金を用いて、圧延温度,1パスあたりの圧下量,累積圧下率を圧延パラメーターとして、温間・異方向圧延プロセスの最適圧延条件を確立した。1パスあたりの圧下量,累積圧下率はその増加に伴って得られる亜結晶粒組織は微細になる傾向があるものの、ST-LT面におけるミクロ組織の均一性から、1パスあたりの圧下量は0.5mm,累積圧下率は90%を最適条件とした。1パスあたりの圧下量0.5mm,累積圧下率90%の下では、圧延温度623Kにおいて最も微細で傾角が大きい亜結晶組織を形成した。得られる亜結晶粒径はAl-3%Mg合金が最も小さく、次いでAl-1%Mn合金,純Alの順番となった。これは添加元素による亜結晶粒の成長抑制効果によるものと考えられる。いずれの試料も累積圧下率の増加に伴って粒界の低角化がより顕著となる。また、温間・異方向圧延材ではST-LT面の中央部と端部で結晶方位差の存在割合はほぼ等しいが、温間・一方向圧延材は端部の方が中央部よりも明らかに低角粒界の存在割合が大きくなった。このようなミクロ組織状態を反映して、温間・異方向圧延材ではST-LT面の中央部と端部でほぼ同等な硬さを有しているのに対し、温間・一方向圧延材は端部の方が中央部に比べて明らかに硬くなった。すなわち、温間・異方向圧延材は温間・一方向圧延材よりもST-LT面において均一で微細な低角粒界をもつ亜結晶組織を形成することを明らかにした。
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