2002 Fiscal Year Annual Research Report
瞬時核発生と凝集抑制を可能とした流通反応器によるシングルナノチタニア粒子連続合成
Project/Area Number |
14750611
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 正樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50323069)
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Keywords | ナノ / チタニア / 流通管型反応器 / 高分子分散剤 / ポピュレーションバランス |
Research Abstract |
ナノサイズのチタニア(酸化チタン)微粒子の塗布で作製される薄膜は、抗菌、脱臭、防汚、有害有機物の分解などを行うための光触媒、ルテニウム有機錯体を用いた湿式太陽電池の材料としての利用が期待されている。チタニアは光を吸収すると電子と正孔がチタニア内部に生成する。従って、塗布されるチタニア微粒子の比表面積を大きくすることは、利用される正孔および電子の量を増加させることとなり、光触媒や湿式太陽電池の機能向上につながる。比表面積を増大させるためには、原料となるチタニアの粒径を減少させることに加えて、チタニアの単分散性を向上することが有効である。 本研究では、エタノール中でのチタンエトキシドの加水分解を利用するチタニア粒子の合成に関して、流通管型反応器で固体微細核の瞬時発生を、そしてその直後に凝集抑制分散剤を含む溶液を添加して核発生の停止と共に凝集抑制を行わせることにより、単分散シングルナノサイズ微粒子を連続的に合成するプロセスの構築を目指す。 本年度は、回分反応において、チタンエトキシド濃度を低く、水濃度を適切な濃度で、高分子分散剤であるヒドロキシプロピルセルロース濃度を高くすることで、粒径37nm、幾何標準偏差1.2の単分散微粒子を獲得した。そして、流通管型反応器を用いて、回分反応と同様の粒径、幾何標準偏差の粒子の連続的な合成を達成した。また、高分子分散剤の粒子表面への吸着による立体反発を考慮することで、以前に発表した微細核発生と粒子の凝集成長のポピュレーションバランスモデルの修正を行った。そして、モデルを実験データへ適用し、その妥当性について検討した。その結果、平均粒径に関して、高分子分散剤および水濃度を高いほど平均粒径の小さい粒子が生成することを概ね表現することができた。また、幾何標準偏差に関しても、高分子分散剤濃度が高いほどその値が低いことを概ね表現することができた。
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