2002 Fiscal Year Annual Research Report
無機複合材料を用いた中温度作動型のプロトン伝導性固体電解質膜の開発
Project/Area Number |
14750614
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大友 順一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 寄付講座助手 (90322065)
|
Keywords | リン酸二水素セシウム / 硫酸水素セシウム / シリカ / プロトン伝導体 / 個体電解質膜 / 燃料電池 / 界面 |
Research Abstract |
200-300℃の中温度領域で動作が可能な固体電解質型燃料電池の実現化を日指し、14年度は、プロトン伝導体であるリン酸二水素セシウムおよび硫酸水素セシウムとシリカ粒子の混合体から構成されるプロトン伝導性無機複合型固体電解質膜を作成し、その伝導率測定を行った。リン酸二水素セシウムと硫酸水素セシウムのプロトン伝導率は、シリカ粒子を混合することによってその値に顕著な変化が現れる事実が観測され、その現象を交流インピーダンス測定によって解析を行った。リン酸二水素セシウムと硫酸水素セシウムの単体のプロトン伝導率測定において、各々230℃と140℃よりも高い温度領域で、構造相転移に伴うプロトン伝導率の大幅な上昇が生じる事実を確認した。その上で、シリカ微粒子を混合し、リン酸二水素セシウム/シリカと硫酸水素セシウム/シリカのプロトン伝導率を各々測定したところ、単体よりもより低い温度領域において高いプロトン伝導率を有していることがわかった。シリカ微粒子の混合によって、高プロトン伝導相が安定化され、その結果として、高いプロトン伝導を示すと考えられた。高プロトン伝導相の状態をさらに調べるために、示差熱分析とX線回折測定を行った。示差熱分析測定の結果、リン酸二水素セシウムと硫酸水素セシウムの各々の構造相転移に伴う吸熱ピークは、シリカ粒子を加えることによってより低温側にシフトした。X線回折測定では、リン酸二水素セシウムと硫酸水素セシウムの両者において、シリカ粒子の添加により回折ピークの半値全幅の増加が観測された。これらの結果から、シリカ微粒子を混合することにより、リン酸二水素セシウムとシリカ、もしくは硫酸水素セシウムとシリカの界面において、プロトン伝導体の無秩序相が形成され、プロトン伝導率の上昇が生じることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 大友順一郎, 皆川尚久, 温慶茄, 江口浩一, 高橋宏: "Protonic conduction of CsH_2PO_4 and its composite with silica in dry and humid atmospheres"Solid State Ionics. 156/3-4. 357-369 (2003)
-
[Publications] 大友順一郎, 皆川尚久, 温慶茄, 江口浩一, 高橋宏: "Ionic conductors based on CsH_2PO_4 for SOFCs operated at intermediate temperature"Proceeding of 5^<st> European Solid Oxide Fuel Cell Forum. 5. 663-670 (2002)