2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14750620
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
市村 重俊 神奈川工科大学, 工学部, 助手 (20333156)
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Keywords | 感温性膜 / 温度応答性 / N-イソプロピルアクリルアミド / 膜濾過 / ファウリング / プラズマグラフト重合法 / 洗浄 / 中空糸膜 |
Research Abstract |
浄水処理や排水処理において膜ろ過法の導入が進められているが,膜の汚染による性能低下が大きな問題である.そこで本研究では,多孔基材の表面をN-isopropylacrylamide(NIPAM)で覆った感温性膜を利用し新規な水処理システムを開発することを目的としている.このシステムは,約32℃の水温を境にして生じる相転移現象を汚染膜の洗浄に利用するというものである.昨年度の研究では,プラズマグラフト重合法によりシート状の感温性膜が作製できること,この感温性膜が従来法では困難とされる膜内部の汚染物質の洗浄に有効であることを明らかにした. 本年度は,システムの実用化に不可欠なモジュール化を想定してポリエチレン製の中空糸基材を利用して感温性膜の開発を行った.様々な条件下でNIPAMを重合した結果,モノマー濃度と重合時間によって重合量が制御できることを明らかにした.また,重合量と透水性の関係はモノマー濃度によって異なったが,これは膜断面方向の重合分布に起因することがFT-IR分析により明らかとなった.さらに,非イオン性界面活性剤をモデル物質とした洗浄性評価実験を行った.ポリエチレン基材を利用した場合は,不可逆的な吸着によって膜性能が徐々に低下したが,感温性膜の場合は,疎水的な膜表面に吸着した界面活性剤が水温の変化によって容易に脱着回収できた.このことは,水温変化で生じるNIPAMの相転移現象が膜汚染物質の除去に有効に作用することを示している.以上の結果から,高いろ過性と洗浄性を併せ持つ感温性膜の設計指針が得られた.
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